第46回 コイルセンター業務システム構築のポイント(4)

コイルセンターの業務システム構築・見直しにおいて、業務をうまくシステムに乗せて効果を上げるためのポイントをお伝えします。

コイルセンター業務システム構築のポイント(4)

コイルセンターの業務システム構築・見直し・導入に数多く携わってきました。
業務システムへの要望は現状足元で困っていることや煩雑で手間が掛かっている業務の解決になりがちですが、業務をうまくシステムに乗せ効果を上げるためのポイントがあります。

コラム第44回では「現場の作業者が今現在、目で見ている現品の状態」と「システム上の在庫(帳簿在庫)」とを限りなく同期をとる(近づける)ことがポイントとお話ししましたが、コイルセンター業務システムでは「現物として存在しない在庫」を扱えることも大きなポイントとなります。
今回は「現物として存在しない在庫」を仮に「バーチャル(仮想)在庫」と呼びます。

第44回 コイルセンター業務システム構築のポイント(2)

図1はコイルセンターでの加工の流れです。
コイルセンターは、鉄鋼メーカーで生産された母材(原コイル)と呼ばれる大きなロール状の鋼材を、自動車・家電・鋼製家具・事務機器・建築・建材等の顧客が使用できる形状(シート・フープ)に加工し納入しています。

コイルセンターの加工工程で発生する「バーチャル在庫」の例です。

  1. 入庫予定の母材……(図1の※1)
    鉄鋼メーカーで荷揃(生産完了)したが、自社にまだ入庫していない母材、または積送中のもの。
  2. 二次加工向けの半製品……(図1の※2)
    レベラー加工(一次加工)でシャーリング加工(二次加工)向けの半製品の加工を行うが、二次加工向けの半製品が出来上がっていないもの
  3. 巻き戻し母材への次加工指示……(図1の※3)
    レベラー加工で巻き戻しを行い、そのあとにスリッター加工を行うがレベラー加工が未加工のもの
  4. 加工予定の製品……(図1の※4)

コイルセンター業務システムでは「バーチャル在庫」は、システム上に存在しない場合が多く、業務で次のような問題が発生しています。

  1. 入庫予定の母材は自社に入庫するまで加工指示ができない
    入庫予定の母材からの加工指示は手書き伝票または在庫管理番号を空白で指示を行っている。
  2. 二次加工の加工指示を一次加工の指示から連続して入力することができない
    レベラー加工後にシャーリング加工を行う場合、シャーリング加工向けの半製品(仕掛材)がまだ加工されていないため、シャーリングの加工指示が入力できない。そのためレベラー加工指示では、半製品(仕掛材)として仮に入力、レベラー加工実績を入力後に半製品を母材としたシャーリング加工指示の入力を行っている。
  3. 加工予定の母材巻き戻しへの加工指示ができない
    レベラー加工の後にスリッター加工を行う場合に、レベラー加工が終了しないとスリターの加工指示が掛けられないため、スリターの加工指示は手書きで行っている。
  4. 加工予定の製品に出庫指示が掛けられない
    まだ加工されていないため、トラックに積み込み顧客に納入するための出庫予定対象とならない。

このように現物として存在しない「バーチャル在庫」をシステムで扱えないため手書き伝票が発生し、加工や手配状況がシステム上で把握・管理できない状態となります。

ポイント4

バーチャル(仮想)在庫への引き当て機能

現品はまだ存在していないが、加工引き当てや出庫を掛けられる機能

コラム第43回のポイント1でもお話ししましたが、実業務とシステムから提供される情報が異なるとシステムの信頼を失います。
コイルセンター業務システムでは「バーチャル在庫」へも加工引き当てや出庫を掛けられるようにすることが、システム内の情報の信ぴょう性を高め、実業務で活用できるシステムにつながる重要なポイントとなります。

第43回 コイルセンター業務システム構築のポイント(1)

次回は7月13日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社日本金城印 横浜オフィス シニアマネージャ

三山 裕司

2003年10月、株式会社CANVASを起業。
2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移し現職。
鉄鋼流通/コイルセンターの実務とITに精通した専門家集団として、業務改善・システム導入でお客様をサポート。RFIDを代表とする自動認識技術・物流効率化を実現するサービス・システムの情報提供・導入支援を行う。
株式会社日本金城印
株式会社日本金城印 コイルセンター情報ブログ(鉄鋼流通・加工)

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