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パッケージ導入するうえでRFPに盛り込みたいポイント
多くの中堅企業において、パッケージシステムを導入することが当たり前になっています。今回は、特に自社開発のシステムを利用している企業がパッケージを選定する際に、注意していただきたいポイントに触れていきます。
パッケージ導入するうえでRFPに盛り込みたいポイント
株式会社大塚商会
首都圏ソリューショングループ
アパレル/ライフデザインSPソリューション課
森 浩和
多くの中堅企業において、パッケージシステムを導入することが当たり前になっています。今回は、特に自社開発のシステムを利用している企業がパッケージを選定する際に、注意していただきたいポイントに触れていきます。
パッケージを導入するにあたり、社内プロジェクトを立ち上げ、RFP(Request For Proposal)を作成されると思います。しかし、RFPを元にベンダー各社から提案書を入手して業者選定をおこなったにもかかわらず、FITGAP(注)を行った後、想定外の見積りがベンダーから提示されることがあります。これは、RFPにおいて「ユーザーが想定している機能」と、「ベンダーが想定している機能」にギャップが生じているためです。そこで、両者にギャップを生じさせないために、RFPに盛り込んでいただきたいポイントをご紹介します。
- * パッケージソフトを利用するシステム開発で、パッケージが備える機能とユーザー企業の業務の「適合部分(フィット)」および「かい離部分(ギャップ)」を調べる作業のこと。
RFPに盛り込んでいただきたいポイント
- システムに求めることを決める。
- システムに求める要件の洗い出しと適用範囲を決める。
- スケジュール、予算を決める。
- プロジェクトの基本方針を決める。
1.システムに求めることを決める
システムに求めること(以降、要件と呼ぶ)と言ってもさまざまなことがらがあります。
例えば、
上場企業に求められる内部統制の要件を満足すること
月次決算に対応できること
エンドユーザーが分析できるデータを提供すること
など、さまざまな要件を決めることと思いますが、これではユーザーとベンダーとの間にギャップが生じる可能性があります。
「上場企業に求められる内部統制の要件を満足すること」の一言では、システムがどのような機能を備えていれば要求を満足するのかが明確になっているとは言えません。ユーザー側は「データ改ざん防止機能が必須」という認識だったとしても、ベンダー側では「キーコン」となる帳票が紙で保存できればいいと認識するだけなど、両者の解釈にギャップが生じてしまうためです。
RFPに記載した要件をベンダーに理解させるためには、要件を具体的に記載することが重要です。
例えば、伝票の承認を上長が行った後は、データを修正できないよう制御されること
というようにシステムに求める要求を具体的に記載すると、より正確にベンダー側が要求を理解することができます。
2.システムに求める要件の洗い出しと適用範囲を決める
次に、要件を洗い出して、適用範囲を決定します。要件をもれなく洗い出し、適用範囲を確定させるためには、要件に優先順位を付ける必要があります。
例えば、以下のような手順で進めていきます。
求める要件をもれなく拾い出します。
求める要件に順位付けを行います。
優先順位を指標に適用範囲を決めます。
当然ですがシステムに投資できるコストには限りがあると思いますので、優先順位が高く投資効果が高いものを適用範囲に盛り込んでいきます。
3.スケジュール、予算を決める
パッケージ選定から稼働までのスケジュール・予算について、販売管理パッケージをベースに考えてみたいと思います。パッケージを利用する場合、適用する業務(購買、受注、物流、売上、商品管理など)によって、おおよそのスケジュールや予算が推測できますが、カスタマイズの規模によって大きく変動してしまう可能性があります。
従って、ここでは自社の置かれた状況を分析し、あくまでも希望するスケジュールを仮に設定することになります。例えば、現行システムの保守が後2年で終了してしまう場合でしたら、1.5年後に稼働時期を設定し、稼働時期を絶対条件として業者選定をしていくような手順になっていくと思います。
4.プロジェクトの基本方針を決める
具体的な作業に入る前に、プロジェクト方針を決定しベンダー側と共有することが重要と言えます。導入の具体的な作業に入っていくと、必ず解決しなければならない課題・問題にぶち当たることが当たり前と考えるべきです。その際にどのような方向性をもって解決策を見出していくのか、指針とすべきものがプロジェクトの基本方針です。
スケジュールと予算を決め、その範囲内で稼働できれば何も考える必要はありませんが、そんなにうまくいくことはないと最初から考えるべきです。これらの優先順位は、導入する企業の置かれている状況によって異なりますので、必ず自社の置かれている状況を把握して考えておく必要があります。前述のように現在利用しているシステムの保守期限が迫っている場合なら、多少の不自由・問題があっても稼働を優先させるべきでしょうし、信頼性の担保を絶対的に求められるシステムでしたら、予算、稼働時期より稼働品質を優先しなければなりません。またこれらのプロジェクト方針をベンダー側と共有し同じ目線で具体的なシステム導入作業を進めていくことが何よりも重要かと思います。
[SE]2016年11月 1日