ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
製品、サービスに関するご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ApaRevo 活用コラム
フィジカルインターネットの進捗状況
今回は、フィジカルインターネットの進捗(しんちょく)状況についてご紹介します。
フィジカルインターネットの進捗状況
株式会社大塚商会
首都圏ソリューショングループ
ASCアパレル・旅行SPソリューション課
依田 裕二
フィジカルインターネットという言葉をご存じでしょうか。2年前のコラムでフィジカルインターネットの概要をご紹介しました。
フィジカルインターネットとは、複数の企業が保有する倉庫やトラックを共有して、物資を効率的に輸送しようとする、新しい「物流システム」の考え方を指します。
具体的には、IoTやAI技術を活用することで、物資や倉庫、車両の空き情報などを「見える化」しつつ、貨物も規格化された容器に詰めて管理します。こうして管理された貨物は、複数企業の物流資産(倉庫、トラックなど)をシェアして構築したネットワークを通じて輸送されます。こうすることにより物流効率は高まり、物流需要増加やドライバー不足の解決手段になるほか、燃料消費量を抑制し、温室効果ガス排出量を削減につながると考えられています。
参考:「フィジカルインターネットとは何か? 課題だらけの国内物流を「超・効率化」する仕組みとは(連載:第4次産業革命のビジネス実務論)」(ビジネス+IT)
2030年に向けたアクションプラン
百貨店・物流・取引先(アパレル業界)業界で、百貨店物流および百貨店業界の業務の効率化(百貨店EDIの刷新および普及、各種伝票などの標準化、専用値札の廃止、納品時間指定の緩和など)について検討を行い、2022年3月に2030年に向けたアクションプランが策定されました。「2024年度第1回 フィジカルインターネット実現会議」で進展情報がありましたので、ご紹介します。
「業界」でのフィジカルインターネットに向けた取組の進展
フィジカルインターネット実現会議
業界別アクションプラン:目標年次2030年
- * フィジカルインターネット・ロードマップの目標年次は2040年
- * WGはワーキンググループの略
スーパーマーケット等WG(加工食品・日用雑貨)
製配販WGで検討・実証
- アクションプランでとりまとめられた特に優先的な取組項目について、「(1)商流・物流におけるコード体系標準化WG」「(2)物流資材の標準化および運用検討WG」「(3)取引透明化に向けた商慣習検討WG」「(4)データ共有による物流効率化検討WG」を設置
- 物流に必要な商品マスタや物流資材の標準化、メニュープライシング導入等について議論を昨年度に続き継続実施
- 物流拠点を一意に識別するための「物流標準事業所コード」の付番ルールや、「消費財サプライチェーンにおける物流効率化に向けた物流サービスの明確化およびメニュープライシング導入ガイドライン」等を取りまとめた
百貨店WG
業界参加WGで検討・実証
- 紙伝票の電子化に向けて「百貨店WGシステム検討会」を設置し、受発注に係る伝票の標準化やEDIの刷新等についての議論、伝票の電子化の実証実験を実施
- 「百貨店WGシステム検討会」では、実証実験の成果を基に百貨店統一伝票の運用の見直し検討や、百貨店業界のEDI活用の方向性の検討を行い、百貨店アクションプラン見直し案を策定
- 今後、業界関係者が主導し、見直し案を含めたアクションプランを推進する予定
建材・住宅設備WG
業界参加のWGでの検討
- 運送事業者に負担がかかる原因となっている納品条件の見直し・透明化を進め、物流の負担軽減と適正化を図るため、2024年3月に新たに「建材・設備物流における納品条件適正化に向けたガイドライン」を作成し、今後は普及啓発を行う予定
- 物流効率化をより実効性を高めるために、「建材・住宅設備サプライチェーンにおける物流効率化に向けた2030年までのアクションプラン」を改訂した。今後は各タスクフォースがアクションプランを実行する
化学品
各分科会での対策検討
- 化学品は、製品特性や輸送方法・条件が多岐にわたることから、それぞれの状況も踏まえたきめ細やかな対策が必要
- 現状の物流課題についてのアンケートで明らかになった課題(商慣行改革・共同物流・DX 等)ごとに分科会を設置し、各分科会における2030年までの自主行動計画・アクションプランを策定
- 共同物流において物流情報取扱基準を設定し、共同輸送分科会活動、物流DX(基本構想・POC・共通基盤)を推進していく予定
フィジカルインターネットの動向を踏まえて検討していく
今後、われわれライフデザインSPが協力できる範囲として、
- スーパーマーケットWGの商品情報授受に関するさらなる検討については、商品データベースの提供や開発
- 百貨店WGにおける紙の伝票の電子化や受発注伝票の標準化、EDIの刷新に対するシステム提供などがあげられます。
まだまだ実現検討段階になりますが、フィジカルロードマップでは2025年までが準備段階で基幹系システムの刷新/DXを行い、2026年から取り組みをスタートするロードマップとなっています。フィジカルインターネットの動向も考えて、業界パッケージとして大塚商会が取り扱う「SMILE V ApaRevo」も変化に応じたシステムとして検討していく必要があります。
[SE]2025年3月21日