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ApaRevo 活用コラム
「今と同じ」は禁句
今回は、「『今と同じ』は禁句」についてご紹介します。
「今と同じ」は禁句
株式会社大塚商会
首都圏ソリューショングループ
ASCアパレル・旅行SPソリューション課
森 浩和
新システムの選定材料として要求事項を整理する
システムを刷新する際には、新システム選定の材料として要求事項の整理が必要となります。各業務の目的や必要要件を全体的に整理することは並大抵にできることではありません。そのような背景もあり、新システムへの要求事項として「今できていること」が登場します。新システムをパッケージとして導入することを考えている企業の場合、機能レベルや項目レベルで現行システムとそのパッケージシステムとのマッピングを行い、そのFIT成績でパッケージシステムを評価します。加えてマッピングで顕在化した現行システムとのGAPについて、カスタマイズを行い現行システムに寄せていくことが現行踏襲と呼ばれます。
要件定義時で「今と同じ」は悪い影響を及ぼす場合がある
現行踏襲は安心確実に見えますので、新システムの要件定義でよく耳にする単語になります。今まで要件定義時に「今と同じ」と言われた経験が何度もあります。現場にとってシステムは慣れたものが使いやすく「今と同じ」が安心なのは当然かと思います。ですが、「今と同じ」が悪い影響を及ぼす場合があります。
現行踏襲だからこそ要件定義が不十分となり、受け入れテストで問題が発覚する。現行システムの仕様をそのまま新システムへ踏襲すること自体その難易度は高く、機能や項目別の優先度判定を十分に行わずに現行踏襲を実施した結果、不必要な開発コストが増加してしまうことがあります。このような事態を避けるために要件定義の前に下記を実施することが有効だと思います。
- 「今と同じ」の内容を事前に明確化する
- 現行システム仕様の必要性と優先度を整理する
システム導入を成功させるために
現行システム仕様が不明瞭な場合は、該当機能について「今と同じ」が可能か否かを分析する。そもそも現行システム仕様が明確でない場合は、「今と同じ」にすることが困難です。現場に対してシステム導入の目的や方針を共有し、分析結果によっては「今と同じ」を禁句にする。
システム導入を成功させるためには、「今と同じ」が有効か事前に分析することが重要だと思います。
[SE]2025年7月17日