Googleスプレッドシートを活用した勤怠管理表の作り方

Googleスプレッドシートは無料で使用できるクラウド上の表計算ソフトです。一つのファイルを複数の従業員が共同で編集・管理できるため、クラウド上で社内の勤怠管理表を作成することも可能です。
本記事では、Googleスプレッドシートで複数のシートを組み合わせた勤怠管理表の作成方法から、注意点までを解説します。

Googleスプレッドシートによる勤怠管理表の作り方

Googleスプレッドシートを利用すれば、複数のシートを組み合わせて、勤怠管理表を作成することが可能です。以下では、

  • 従業員の勤務時間などを管理する「勤怠管理シート」
  • 従業員の稼働月や休日を管理するための「設定項目シート」
  • 出社・退社時刻などを入力する「勤怠入力シート」

で勤怠管理表を作成する方法を解説します。

(1)勤怠管理シートを作るために準備する

勤怠管理シートを作成する際には、まず自社の勤怠管理表にどのような機能が必要かを考え、シート上に設定する項目や機能などを洗い出します。勤怠管理表には特に定められた形式はなく、自社で必要な項目や機能を組み合わせて、使いやすい管理表を自由に作って差し支えありません。

ただし、作成する勤怠管理表を賃金台帳として利用することを考えているのであれば、「賃金計算の基礎となる事項」などが記入されていなければなりません。労働基準法第108条では、従業員に対する賃金の支払状況や勤務状況を正しく管理するために、賃金計算の基礎となる事項が記載された賃金台帳の作成を使用者に義務付けているからです。記載する必要のある事項とは、従業員の氏名や性別のほか、勤務日数や勤務時間、時間外・休日・深夜労働時間、基本給や手当などです。

勤怠管理シートでは、

  • 従業員が1日の出退勤時刻を入力し終わると勤務時間を計算する
  • 入力された出退勤時刻から時間外(残業)時間や深夜労働時間、休日労働時間などを計算する
  • 有給休暇の取得を入力すると取得日数の累計や残りの休暇数を計算する

といったことを行えるようにします。

そのほかにもリモートワークでの勤務とオフィス出社での勤務とを区別できるような項目や、残業時間の平均値が分かる機能など、必要な項目や機能があれば、追加します。正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用の従業員も含め、全ての従業員が活用できる勤怠管理シートを作成するために準備します。

参照:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう(宮古労働基準監督署/厚生労働省・PDF)

(2)設定項目シートを作成する

設定項目シートでは、勤怠管理表の年・月や従業員の稼働日、休日などを設定・管理します。設定項目シートの入力内容は、後述する勤怠入力シートおよび勤怠管理シートの表示条件や自動計算などの条件として使用されます。

会社が休みの曜日や特別休日などを設定しておくことにより、勤怠入力シートや勤怠管理シートに休日が反映されます。また、祝日リストを作っておけば、祝日に色をつけることも可能です。必要に応じて、

  • 勤怠管理表を残業時間計算に使用するための「残業開始時刻」
  • 早出出勤で残業時間がつくケースで使用する「早出開始時刻」
  • 深夜労働の割増賃金計算に使用する「深夜残業開始時刻」

なども設定します。

(3)勤怠入力シートを作成する

勤怠入力シートは、従業員の毎日の勤務時間を入力するシートです。シートに出勤時刻や退勤時刻、休憩時間、休日などを入力すると、1日の稼働時間や残業時間、有給休暇の取得日数などが自動で計算されます。

勤怠入力シートは、従業員ごとの1カ月の出退勤時刻などが一覧で確認できる表形式になっています。主な項目として出勤時刻・退勤時刻・休憩時間、休日のほかに、日付・曜日・稼働時間・残業時間・深夜労働時間・休日労働時間・テレワークによる勤務時間・有給休暇の取得日数などがあります。入力欄のセルに「データの入力規則」で数字などのプルダウンリストを設定して、入力方法を統一します。

毎営業日に入力される出退勤時刻から労働(勤務)時間などを自動で集計する合計欄も作成します。労働時間、深夜労働時間、休日労働時間などはSUM関数を使って自動計算されるようにします。「文字が入っているセル」の数を数えるCOUNTA関数を使用すれば、出社日数を集計することも可能です。土・日・祝日などに「条件付き書式」を設定し、当該セルを青や赤などで塗りつぶすようにすれば、休日がひと目で分かり、勤怠入力シートが見やすくなります。

(4)勤怠管理シートを作成する

勤怠管理シートは、入力された勤怠情報のデータを管理するためのシートで、各従業員の稼働時間や出勤日数といった勤怠データが反映されます。月間の勤怠状況を印刷し、一覧で確認するといったことも可能です。

従業員が入力した勤怠入力シートの内容をVLOOKUPなどの関数を使用して、勤怠管理シートの従業員の欄に自動で反映させます。給与計算に使用する時間外労働や休日などの情報を正確に反映し、見やすい形式のシートを作成します。

スプレッドシートで勤怠管理表を作成するデメリット

Googleスプレッドシートを利用すれば、比較的手軽に勤怠管理表を作成できますが、管理面や運用面で幾つかのデメリットもあります。

一人一人手作業で管理しなければならない

Googleスプレッドシートで作成した勤怠管理表を使用する場合、出退勤時刻や休日などの入力は各従業員が手作業で行う必要があります。出退勤時刻の入力は、毎日の勤務の出社時と退社時に行わなければならない作業です。

カードを挿入すれば自動で時刻が打刻されるタイムカードなどとは異なるため、各回の作業時間がわずかだとしても、出勤日には毎日行わなければならないため、累積すれば、かなりの時間が取られてしまいます。従業員数が多いほど勤怠管理作業に多くの時間がかかるため、非効率になる可能性があります。

法律の改正に対応できない可能性がある

Googleスプレッドシートで作成した勤怠管理表では、労働関連の法律が改正された場合、すぐに対応ができない可能性がある点にも注意が必要です。労働時間や休日などを定めた法律が改定される回数は少なくありません。法改正が実施されるたびに、Googleスプレッドシートの変更が必要な箇所を自社で修正しなければならず、手間がかかります。

Googleスプレッドシートのデータを出力して給与計算システムなどにインポートする使い方をしている場合には、給与計算システムの変更に合わせて、出力形式を変えなければなりません。

打刻忘れや改ざんのリスクがある

Googleスプレッドシートの勤怠管理表では、タイムカードやICカードなどを利用する勤怠管理システムのように、従業員の毎日の出退勤時刻を自動で入力することはできません。各従業員が手動で出退勤の時刻を入力しなければならないため、勤務情報の打刻忘れなどが生じるリスクがあります。

退勤時刻も従業員の自己申告で入力されるため、実際とは異なる時刻が入力されたり、後から改ざんされたりする可能性もある点にも注意が必要です。

人為的ミスが起きやすい

出退勤時刻などを手動で入力することから、従業員や管理者によるミスなどが発生するリスクもあります。入力ミスによって、データが正確に反映されないことも考えられ、注意しなければなりません。入力ミスを給与計算などの誤りにつなげないためには入力内容を十分に確認する必要があり、担当者の負担増加につながる懸念が残ります。

勤怠管理をするなら、専用システムの利用がおすすめ

Googleスプレッドシートの勤怠管理表は手軽に作成して利用できる反面、デメリットもあります。自社の勤怠表をGoogleスプレッドシートで作成する場合には、スプレッドシートとの連携が可能な勤怠管理システムの選択が適しています。勤怠管理システムの導入や運用には費用がかかりますが、勤怠表の記録、確認といった作業の負担を軽減することが可能です。

まとめ

Googleスプレッドシートを使用した勤怠管理表は、月・日などを設定する「設定項目シート」、日々の勤怠情報を入力する「勤怠入力シート」勤怠情報を出力・管理する「勤怠管理シート」の3種類のシートを組み合わせて作成することが可能です。スプレッドシートの勤怠管理表は、関数などを用いると自社の必要とする形式のものを無料で作れるメリットがあります。

ただし、毎日手作業での入力が必要だったり、法改正があった場合に修正が必要で、すぐに対応できなかったり、ミスが発生しやすかったりといったデメリットもあります。そのようなデメリットを適切にカバーするには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

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  • 製品一覧
  • 勤怠管理システム比較表

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