フレックスタイム制とは? 仕組みやメリット、現状の導入率

フレックスタイム制とは、労働者が毎日の出退勤時間や労働時間を自由に決められる制度で、労働者のワークライフバランスや生産性向上に寄与するとされています。しかし、フレックスタイム制にはメリットだけでなくデメリットもあるため、導入するときは的確な準備が必要です。
この記事では、フレックスタイム制の仕組みや導入率、メリットとデメリットについて解説します。

フレックスタイム制とは? 導入率は?

フレックスタイム制は、総労働時間を満たせば、労働者の任意で出退勤期間や1日の労働時間を決められる制度です。労働者は、自分のライフスタイルや体調に応じて、自由に働き方を選べるようになります。ただし、必ず出勤しなければならないコアタイムが設定される場合もあります。
フレックスタイム制は変形労働時間制の一種であり、導入にあたっては就業規則によって規定し、労使協定で所定の事項を定めなければなりません。定めるべき所定の事項は、以下のとおりです。

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
  4. 標準となる1日の労働時間
  5. コアタイム(任意)
  6. フレキシブルタイム(任意)

2022年度調査では、企業の8%程度がフレックスタイム制を導入していることが分かりました。企業規模別に見ますと、1,000人以上の企業で31.2%に上るものの、規模が小さくなるごとに導入率は減っていき、まだ「広く普及している」とは言えない状況です。

参照:令和4年就労条件総合調査_概況(厚生労働省・PDF)

フレックスタイム制を導入する目的

フレックスタイム制を導入する目的は、主に「ワークライフバランスの実現」と「通勤ラッシュの緩和」が挙げられます。
ワークライフバランスを実現すれば、労働者は私生活が充実し、仕事にもやりがいを感じるようになります。また、出勤時間を通勤ラッシュとずらすことで、混雑による労働者のストレス軽減や、交通事故・感染症のリスク軽減が可能です。

このようにフレックスタイム制は労働者の仕事と私生活を好転させ、働きやすい職場作りに寄与します。ひいては生産性向上や企業のイメージアップ、優秀な人材確保など、企業活動全体に恩恵をもたらすことが期待できます。

フレックスタイム制の基本的な仕組み

フレックスタイム制の基本的な仕組みとして、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」があります。
コアタイムとは、出勤が必須となる時間帯のことです。企業や部署によって異なりますが、一般的には午前中や午後の始めに設定されます。コアタイム中は全員が出勤しているため、会議や打ち合わせなどを行ってコミュニケーションがとれます。

フレキシブルタイムとは、働くかどうかを選べる時間帯のことです。コアタイムの前後に設定され、例えば、コアタイムが10時~15時までだった場合、フレキシブルタイムは7時~10時や15時~18時まで、というようになります。
フレキシブルタイム中は自分で出退勤時間や労働時間を決められますが、労使協定で定めた総労働時間を超えないようにしなければならない点には注意が必要です。

フレックスタイム制とシフト制の違い

フレックスタイム制とシフト制は、どちらも労働時間を柔軟に変えられる制度ですが、以下の点で違いがあります。

  • 誰が労働時間を決めるのか
  • 残業時間の計算方法

フレックスタイム制では、労働者自身が出退勤時間や労働時間を決められます。一方、シフト制では、会社側が業務量や需要に応じて労働者を配置するため、労働者側に決定権はありません。
また、フレックスタイム制では、「清算期間における総労働時間」を超えた分が残業時間になります。
清算期間は「働くべき期間」、総労働時間は「働くべき時間」のことで、例えば「3カ月の清算期間で総労働時間が520時間のところ、実際には530時間働いた」というケースなら、残業時間は10時間となります。一方のシフト制では、「法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)」の超過分が残業時間です。

スーパーフレックス制

スーパーフレックス制は、より自由度を高くしたフレックスタイム制の一種です。スーパーフレックス制では、総労働時間を満たしていれば、出退勤時間を自由に決められます。つまり、コアタイムがなく、フレキシブルタイムだけになります。

スーパーフレックス制のメリットは、労働者が自分の働き方をコントロールできるため、自主性や創造性を高められる点が挙げられます。
ただし、スーパーフレックス制の場合、フレックスタイム制以上に管理やコミュニケーションが難しくなります。フレックスタイム制にも通じることですが、スーパーフレックス制を導入する場合は、労使協定や就業規則の整備、労働者の教育やサポートが大切です。

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制には、労働者にとって多くのメリットがあります。ここでは、具体的にどのようなメリットを得られるのかについて、代表的な3点を解説します。

1. ワークライフバランスを改善できる

労働者は、自分の集中力や能力が高まる時間帯に働けば、仕事の効率や品質を向上できます。フレックスタイム制で通勤ラッシュを避けられるのでストレス低減につながりますし、趣味のイベントに参加できるよう働けばプライベートを充実させられます。

また、自分の都合によって出退勤時間や労働時間を調整できるため、介護や育児など「家庭の事情」に合わせた働き方も可能です。通院や保育園などの送迎、役所での手続き、急病の対応などがしやすくなり、仕事への影響を最小限に抑えられます。
このように、自分のライフスタイルや体調に応じて働けるようになるため、労働者は充実した日々を送れるようになります。

2. 残業の削減につながる

フレックスタイム制にすれば、退勤時間を自分で調整できるため、不要な残業をなくせます。
会社側が残業を減らそうとしても、社内風土や個々人の忖度(そんたく)意識によって難しい場合があります。しかし、フレックスタイム制の導入は労働システムから変えることになりますので、「周囲が残っているから帰りづらい」といった風潮も改善可能です。残業時間が減れば、一人一人の健康が改善するほか、残業代が減ることで会社のコスト削減にもつながります。

3. 離職率を下げられる

フレックスタイム制を導入すれば、家事や育児があっても仕事を続けやすく、働きやすい会社になります。
通常の労働形態ですと、労働者本人が働き続けたいと思っても、家庭の事情で退職を余儀なくされる場合があります。しかし、フレックスタイム制なら、そうした人たちも辞めずに働き続けることが可能です。離職率が下がれば、より優秀な人材も集まりやすくなり、採用・教育のコストも削減できるため、会社の利益にもつながります。

フレックスタイム制のデメリット

ここまで解説したとおり、フレックスタイム制はメリットの多い仕組みですが、現在の普及率はそれほど高くありません。ここからは、その原因となるデメリットについて紹介します。

コミュニケーションが取りづらい

フレックスタイム制の場合、コアタイム以外は同僚と会えない可能性があります。
チャットやメールなどでも交流はできますものの、実際に会うより情報量は減るため、お互いの人柄や能力、抱えている業務や課題を共有しにくくなります。そのため、うまく関係性を築けなくなり、チームでの仕事に支障をきたすかもしれません。

コミュニケーションを円滑にするためには、定期的なミーティングや交流会などが有効です。上司と部下、同期同士、チーム単位など、さまざまなつながりと関わることで、職場の人間関係を良好にたもてます。

人によっては向いていない

フレックスタイム制は、労働者一人一人に管理能力が求められるため、自己管理が苦手な人には不向きです。フレックスタイム制に不向きな労働者だと、かえって生産性が低下したり、業務を抱えすぎたりする可能性があります。
フレックスタイム制を導入する際には、自分で業務時間を決めることに不安やストレスを感じさせないよう、個人の性格や能力に応じたサポートが必要です。

勤怠管理が複雑になる

フレックスタイム制には定時がないため、何時からが残業になるのか判断が難しくなります。また、給与計算方法の規定も調整が必要です。
勤怠管理や給与計算の変更は、多大な時間とコストが必要なため、フレックスタイム制導入の大きな障害となります。このような課題を解決するためには、勤怠管理と給与計算を連携できるシステムを導入し、業務を効率化することが有効です。

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まとめ

フレックスタイム制は、ワークライフバランスの改善や残業削減などのメリットがある一方、コミュニケーションの取りづらさや勤怠管理の複雑さといったデメリットもあります。そのため、導入する際には労働者の教育やサポートが重要です。
フレックスタイム制をうまく運用すれば、生産性が上がり、企業の利益向上にもつながります。勤怠管理システムなども活用し、会社と労働者の双方にとってより良い職場を実現しましょう。

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