第134回 活気を感じる会社とそうでない会社とのほんの少しだけの差の話

いろいろな会社にうかがう中で、何かしらすごく活気を感じる会社と、何となく活気がないと感じる会社との両方に出会いますが、その違いを感じるうえで最も大きな要素が一つあります。

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活気を感じる会社とそうでない会社とのほんの少しだけの差の話

仕事でいろいろな会社にうかがう機会があり、その中には何かしらすごく活気を感じる会社と、沈んでいる? おとなしい? など、何となく活気がないと感じる会社との両方に出会います。
私は人と組織に関わる仕事柄よけい敏感に感じるのかもしれませんが、たぶん私のような仕事でなくても、取引先や顧客とのやり取りを通じて同じようなことを感じる人は多いのではないでしょうか。

活気の感じ方というのはあくまで主観になりますし、接している相手による個人差もあります。担当者が活発な人であれば、会社全体にも同じイメージを持ちがちです。でも実はそうでもなかったような経験は私にも確かにあります。担当者は「自分だけ浮いている」などと苦笑していたりしますが、個人でなく会社全体としての活気の有無もまた確かに存在します。そしてこの現場の活気度合いは、やはり業績にも影響していると思います。

コミュニケーションの「量」と「質」

私がその会社の活気の有無を感じる最も大きな要素は、社内で交わされるコミュニケーションの「量」と「質」です。

まずコミュニケーションの「量」に関していえば、例えば私のような社外の人間が訪問した時、すれ違う人たちみんなから頻繁にあいさつされるような会社があるかと思えば、目も合わさずほとんど無視されるような会社もあります。
あいさつというのは「相手に存在を認識したことを伝える行為」で、コミュニケーションの一番初めの入り口ですから、あいさつの少ない会社では全体的なコミュニケーションの「量」は同様に少ない場合が見られます。

ただし、あいさつされるから良いかというと、必ずしもそうではないこともあります。例えばそのことばかりを常に口うるさく指導され、ただ義務的にこなしているように思われる会社があります。こういう会社は、ともすれば権威主義的であったり、上意下達の傾向があったりして、あまり話しやすい雰囲気の職場とはいえません。あいさつ以外のコミュニケーションは少なくなりがちで、やはり活気があるとはいえない雰囲気になります。

また、静かで話し声が聞こえないからコミュニケーションの「量」が足りないかというと、これも必ずしもそうではありません。今はさまざまなITツールを用いたコミュニケーションがありますし、各社員が仕事に集中しているから静かという場合もあります。
それでも活気を感じる会社を見ていると、やはり何らかの適度な会話がされていることが多いと感じます。仕事への集中などによって静かな場合は、どちらかというとチームでなく個々人が自分の担当ベースで独立して仕事をしていることも多く、一部の業種や職種に限られることではないでしょうか。

そして、社員同士が会話のほか、コミュニケーションをしていれば活気があるのかというと、これまたそうでもありません。ここにはコミュニケーションの「質」の問題があります。
職場での会話の内容を聞いていると、仕事に関する確認や認識合わせなど、業務に関係がある話をしていることもあれば、完全な世間話や雑談ということもあります。雑談はお互いの関係を円滑にする効果もありますので、悪いことではありませんが、中に四六時中雑談ばかりという会社があります。
会話している様子だけを見ていると、いかにも活気があるように見えます。しかし度が過ぎた雑談は、仕事をするための雰囲気としては緩み過ぎになります。気が散って手が遅くなる、ミスが増えるなど、生産性が低くなることもあり、これはやはりコミュニケーションの「質」が良くないということになるのでしょう。

適切なコミュニケーションで活気のある会社へ

「活気」というのは、その場の雰囲気、空気感でもあります。またコミュニケーションというものは、あいさつ、会議、報連相など、初めは強制されたものであっても、徐々にそれが定着して「量」と「質」が伴うことで活気が出てくるということがあります。これは現場の状況に合わせた適切なコミュニケーションによって、空気感が変わり活気がある会社に変えられるということです。
この対処の仕方を間違うと、逆に活気を失わせてしまうこともあります。例えば勤務時間中のムダ話が多いということで雑談を制限したら、他の必要な会話も減ってしまったというようなこともありました。

私がお手伝いするような人事施策の中には、こんな小さな取り組みも数多くあります。身近でささいなことですが、現場の状況を客観的に見て、より良い対処をするのは意外に効果的であり、その反面、何が適切かを判断することの難しさがあります。
活気があって業績が上がる組織作りにおいては、実はこのあたりが一番大事な部分ではないかと思っています。

次回は11月26日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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