第135回 「やりたい仕事」と「やっている仕事」と「やれる仕事」の関係の話

日本は「仕事の満足度」が低く、その一因として自分のやりたい仕事ができていないことが多く見えますが、その機会を得るには「やりたい仕事」「やっている仕事」「やれる仕事」の関係を考える必要があります。

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「やりたい仕事」と「やっている仕事」と「やれる仕事」の関係の話

企業をはじめとした組織作りにおいて、メンバーの帰属意識やエンゲージメントはよく話題になり、重要視されることが多いテーマです。しかし、いろいろな調査結果を見ていると、特に日本ではそのあたりの数値が全般的に低い傾向があります。「仕事の満足度」は決して高いとはいえず、愚痴や不満を聞くことも多い割には、そんな状況でも「今の会社に勤め続ける」という人の比率は意外に高かったりします。

仕事の満足度が低い要因はさまざまですが、私が現場で働く人たちの様子を見ていると、どうも自分の「やりたい仕事」をやっているというよりは、指示された仕事をただ「やらされている」ように見えることが多い感じがします。やはり自分がやりたいことに取り組めているかどうかは、満足度を高めるためには重要です。

「やりたい仕事」「やっている仕事」「やれる仕事」の間にあるギャップ

組織で仕事をする中で希望どおりにならないのは仕方がないことかもしれません。それでも自社の中で「やりたい仕事」に出会って、その仕事に取り組むことができている人はそれなりにいます。
そんな「やりたい仕事」をしている人と、「やらされている」ように見える人との違いとして感じるのは、その人の「やりたい仕事」と実際に「やっている仕事」、そしてその人が「やれる仕事」との間にギャップがあることです。

ここで考えなければならないのは、「やりたい仕事」と「やっている仕事」と「やれる仕事」の関係です。
まず「やりたい仕事」と「やっている仕事」は、これが一致すれば一番幸せなことですが、それは運や偶然の出会いに左右されることがありますし、自分の努力だけではどうしようもないところもあります。

この一致を求めて転職や起業という選択をする人もいるものの、その人たち全員が天職を得られるかというと決してそうではありません。転職後に任された業務内容や独立後に依頼される仕事内容が、自分の「やりたい仕事」ではなかったと嘆く人がいます。せっかく行動を起こしても、結局以前と同じく「やりたい仕事」と「やっている仕事」とのギャップが大きいままということがあります。何かをすれば必ず一致するものではなく、不確定な要素が多いです。

次に「やっている仕事」と「やれる仕事」ですが、これは特に意識していなくても、基本的には一致していることが多いものです。多少の背伸びが必要だとしても、会社はその人の能力でできると判断した仕事を与えます。ここにギャップがあったとき、本人の能力不足を責める人がいますが、そもそもは仕事を与える側の見込み違いですので、その点においては本人に責任はありません。「やれる仕事」と認められたからやっている訳で、この関係を意識することは少ないでしょう。

最後に「やりたい仕事」と「やれる仕事」で、実はここが一番ギャップを生じやすいところです。本人は「やりたい仕事」と「やれる仕事」が一致していても、周りから見るとそうではないという状況は意外によくあります。その原因は「やれる仕事」に対する自分と他人の認識との違いです。ここで必要なことは、自分を客観視して適切な自己評価をすることです。

仕事の満足度を高めるために

自分と周囲の認識とが一致すれば、自分が思うような仕事を徐々に任されるようになり、そうなれば「やれる仕事」と「やっている仕事」とが一致しはじめ、さらに自分がやれると思っている「やりたい仕事」につながりやすくなります。「やれる仕事」の認識ギャップは、本人の意識によって埋めていくことができ、それが「やりたい仕事」につながる一歩となります。あとは自分がスキルアップして「やれる仕事」と「やりたい仕事」とを近づけていくことです。

「やっている仕事」と「やりたい仕事」とが一致すれば、仕事の満足度は当然高まりますが、会社という閉じた環境の中で、自分の「やりたい仕事」に取り組むのは、なかなか難しいことかもしれません。また、「やりたい仕事」「やっている仕事」「やれる仕事」は、全て一致すればそれが望ましいのかもしれませんが、それぞれの関係は、自分で変えられるものばかりではありません。

それでもまずは、「やりたい仕事」と「やっている仕事」と「やれる仕事」の関係をしっかりとらえて、自分なりにできることから取り組んでいけば、きっと仕事の満足度を高めることができます。
それをしなければ、自分の「やりたい仕事」にはなかなかたどり着けないのではないでしょうか。

次回は12月24日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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