第94回 多様になった「ドレスコード」と「社風」とのつながりという話

近年最も大きく変わってきたオフィス環境の一つとして、仕事時の「服装」「ドレスコード」があります。これに対する考え方はどんどん多様になってきており、さらにその考え方は社風とつながる部分が意外と大きいと感じます。

多様になった「ドレスコード」と「社風」とのつながりという話

この十数年くらいの間で、最も大きく変わったオフィス環境に関することに、仕事時の「服装」「ドレスコード」があります。

かつての営業職や事務職は、男性であればスーツにネクタイ着用、女性であれば所定の制服やスーツに準じるような会社が多かったですが、女性の服装から徐々に自由度が増えていき、今は暑い日が増えたこともあって、男性のノーネクタイやクールビズも定着しています。

また、夏だけに限定されていた軽装の期間は、徐々に開始時期が早められたり期間が長くなったりして、年間通してカジュアルな服装で過ごす会社も増えました。
私も真夏にネクタイを締めて大汗をかくようなことはほとんどなくなり、カジュアルで訪問しても大丈夫という会社も多くなりましたが、それでも訪問先の業種、面談相手との関係によっては、まだまだ気を遣わなければならないことがあります。

このオフィスでの「服装」に対する考え方というのは、会社によって実に多様です。
ここ最近はリモートワークの機会が増えたことで、このあたりはさらに変化しています。Web会議で画面に映る上半身とそれ以外の映らないところとの服装ギャップが笑い話になっていたり、ノーメークの画面映りをカバーするフィルター機能があったりといった話を聞きますが、仕事でのドレスコードは今後も多様さを増していき、その方向は堅いものからカジュアルへ、さらにラフな軽装に変わっていくことが想像できます。いずれはドレスコード自体がなくなり、それぞれ個人の判断で、TPO(時間:Time、場所:Place、場合:Occasion)に合わせるという姿勢が、より一層求められていくようになるでしょう。

難しい「社員ドレスコード」の判断基準

以前ある会社で、オフィスカジュアルに関するドレスコードの議論に参加したことがあります。

もともとあまり服装にうるさい会社ではなく、客先訪問や社外の人と会う時に多少の決めごとがある程度で、それ以外の社内作業などに際しては、別に何でもよいという会社でした。議論をしようとなったきっかけは、ある高級ホテルで会社主催の社員パーティーを催したことからでした。
そこに参加した社員たちの服装が、スーツ着用の者からTシャツ短パンのようなラフな服装の者まで、あまりにバラバラだったのです。ある社員はラフな服装を見て「場所を考えろ」「非常識」「恥ずかしい」と言い、またある社員はスーツ姿の者を見て「社員だけなのに必要?」「別に指定されていない」と言っているなど、同じ社内でもずいぶん感覚が違っていたそうです。
「対外的な目もあるので、会社としての考え方を統一しよう」という社長指示から、この議論が始まりました。

実際に話しはじめると、予想どおりではありましたが、なかなか意見がまとまりません。そもそもあるべき姿やオフィスにおける服装のアウト・セーフの基準が、人によって全く違っていました。
結局この時は、みんなが許容しやすい一般常識の範囲で決めようということになり、「社外の人と会う時」もしくは「社外の施設を使う時(貸会議室や飲食店も含む)」には、「オフィスカジュアルに見える服装」として、具体的に男性は襟付きシャツと長ズボン、女性は過度な肌見せ禁止というものでした。

まだ抽象的な感じもしますが、これをあまり厳密にすると不満が増す恐れがあることと、もともとあまり口うるさい強制を良しとしない社風だったことによる判断で、世間の常識は意識しつつも、やはり「自社の社風に合ったもの」という部分が最も重要なところでした。この内容は特に何事もなく社員に受け入れられ、その後も問題になることはほぼない様子です。

会社としての考え方を示す

私が見ている中でも、この服装に対する考え方は本当に幅があります。

ある会社では、全社員に制服着用を義務付けていますが、その理由はスーツをだらしなく着崩す者が出てきて、いくら注意しても直らなかったためということでした。
またある会社では、これまでのドレスコードを大幅に緩和して、Tシャツでも短パンでもサンダル履きでも、服装は自己判断でよいことにしました。上意下達の堅苦しさが残る風土を、服装を変えることでもっとオープンな風土に変えたかったからとのことです。
「服装を変えて何が変わるのか」と疑問に思う人もいるでしょうが、服装やドレスコードと社風とは確かにつながっているところがあり、最近ではこういう形の組織風土改革も一部の会社で見られるようになりました。

私がいろいろな会社を訪問する中で思うのは、服装に関する価値観にはその会社なりの理由があるということです。

作業着が必要な職種がありますし、スーツとネクタイ必須の会社、ビジネスカジュアルOKの会社、その中でもドレスコードがあったりなかったりするなど、本当に会社によって状況はさまざまです。一言に「ビジネスカジュアル」といっても、その装いは年齢、性別、業種柄などによって全く異なります。
例えば、顧客の価値観が堅ければこちらも堅く、カジュアルであればそれなりにという形で、相手の基準に合わせている会社や社長をはじめとした経営幹部の価値観で、その基準を決めている会社もあります。
ただ、最近は顧客ごとの差が大きかったり、社内でも個人の感覚による差が大きかったりするので、なかなか統一はしづらいようです。

服装やドレスコードからは、まさにその会社の社風が見えてきますし、それは対外的にも見られています。
そう考えると、自社で考えるドレスコードは、ある程度の形を示しておいた方が良いのかもしれません。
いずれにしても、「服装」と「社風」とのつながりは、意外に強いものがあると感じています。

次回は7月27日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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