第93回 働かない社員を生み出す「協働」「依存」「責任」の関係の話

「働かない社員」に関する問題は、いつの時代でも言われますが、そうなってしまうのは本人の意識ばかりではなく、周囲の環境や過去からの経緯、心理的要因などが絡み合っています。しかし、その予防、改善は十分に可能です。

働かない社員を生み出す「協働」「依存」「責任」の関係の話

「意欲がない」「戦力にならない」「仕事をする気がない」など、「働かない社員」に関する問題はいつの時代にも言われることです。
昔からの言葉で「お荷物社員」、さまざまな理由でやる気を失った「働かないおじさん」、さらにこれとほぼ同義で、やる気がなくて存在感の薄いシニア社員を「妖精さん」などと呼ぶものもあります。この「妖精」に対して、存在を誇示するあまり、周囲と摩擦を生んで迷惑を掛ける「妖怪」もいるそうです。「働かない社員」は年齢にかかわらず存在しますが、最近はどちらかと言えば40代以上の中高年が多く取り上げられます。
いずれにしてもこういう社員の存在は、会社にとって大きな問題でしょう。
私自身は会社員ではないため、「お荷物になること」イコール「仕事が無くなること」となってしまうので少し境遇は違いますが、同世代の人間としては、こういう状況の人たちにはちょっと寂しい気持ちがあります。

働く人がいて成立する「働かない社員」

コンサルティングを通じていろいろな会社に関わる中で、特に中高年で「あまり仕事をしない社員」は、時々問題として挙がります。やる気がないのか、力尽きてしまったのか、定年に向けてフェードアウトの気分なのか、はっきりした本音は分かりません。比較的業績が安定した中堅企業から大企業に多いようです。
そもそも「働かない社員」は、ほかに“働いてくれる人”がいなければ成り立ちません。「お荷物社員」は“荷物を持ってくれる人”がいてこそ、また「妖精さん」も“そのまま見守ってくれる人”がいて初めて存在することができます。
一定規模以上の企業では、仕事を肩代わりできる人がたくさんいますし、さらに“無理やり荷物を持たされる人”、“荷物を持つことを拒めない人”も大勢いると思われ、そのおかげでこんなことが起こってしまうのでしょう。

「協働」「依存」「責任」と「働かない」との関係

私が今まで見てきた中で、「働かない」といわれる社員に共通しているのは、「協働」と「依存」と「責任」の関係を、自分に都合良くゆがめていることです。一言でいうと、「組織内での“協働”の名のもとに、できるだけ多くの部分を周囲に“依存”して、自分の“責任”を回避している」となります。要は「自分の責任においては、できるだけ余計なことをせず、何もせずに済ませる」という姿勢です。

しかし、これと全く同じことをしていても、立場によっては問題視されない人たちがいます。
例えば、社長をはじめとした経営者層では、「社員に任せている」などと言って、自分自身はあまり働かないという人がいます。しかし、その社長に対して「働かない○○」「お荷物○○」と言うことはあまりありません。
これはやはり経営者であれば、それなりに企業経営のリスクは取っている訳で、最終的な「責任」は回避できません。多少批判的な気持ちがあったといても、周りはそのことを分かっていますから、あえて「働かない」という批判にはならないのだと思います。

こんなことから考えますと、「働かない社員」というのは、前述の「協働」「依存」「責任」への姿勢が、全てそろって初めて起こるものであることが分かります。そうだとすれば、この三つの関係性を崩せば、「働かない社員」は出てこないということになります。

そうであれば、以下が「働かない社員」を生み出さない三つの条件となり、この一つでも当てはまれば、働かないままではいられなくなります。

  • 「協働」ではない業務分担
  • 「依存」ができない人間関係
  • 「責任」から逃れられない役割や立場

これらは簡単なこととは言いませんが、それぞれ現場の裁量だけでも十分に対応できることです。

「働かない社員」の予防や改善は取り組み次第で可能

私のように組織に属していない人間は、この三つの条件は全て当てはまります。自分の不作為は、全て自分に直接降りかかってきます。
それと似た環境の「“協働”ではない」「“依存”できない」「“責任”から逃れられない」のいずれかの条件の中に置かれれば、「働かない社員」は存在することができません。

ただ、「働かない社員」の気持ちは、少し理解できるところがあります。それは、そうなってしまった人たちに対する会社の向き合い方への同情です。
役職定年やそのほかの理由で肩書がなくなり、それに合わせて給与は下がり、過去の成果や貢献は「時代が違う」などと無視され、それまで築いてきた自信やプライドは失われていきます。新しいことを学ぼうにも、昔ほどの吸収力や柔軟性はありません。「ついていけない」と感じてさらに自信を失います。これを自分のせいだと諦めるのが「妖精」で、周りのせいだと暴れるのが「妖怪」なのかもしれません。
失うものが多い環境で、肩たたきをされながらやる気を維持するのは大変なことですし、その全てが本人任せでは少し酷という感じもします。周囲の環境づくりやサポートも必要でしょう。

「働かない社員」は、本人の意識の問題とともに、過去からの経緯や周りの環境、その他心理的要因など、多くの要素が複雑に絡み合って生まれています。そして、その予防や改善は取り組み次第で十分に可能なことです。
「働かない社員」の存在を嘆いているだけでなく、そうなっている原因を考えながら取り組みを進める必要があります。

次回は6月22日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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