第42回 受け身だと批判された若手社員は、実はやる気満々だったという話

「受け身」というと、ネガティブなイメージで語られることが多く、特に最近の新入社員や若手社員の行動を指してこのように言いがちです。しかし彼らの置かれる立場や本心では、この評価が適切とは言えないようです。

受け身だと批判された若手社員は、実はやる気満々だったという話

仕事をするうえで、その取り組み姿勢が「受け身だ」などと指摘されることは、とかく消極的でネガティブなこととして扱われることが多いと思います。仕事上で「受け身」であることを褒められた経験がある人は、ほぼ皆無に近いのではないでしょうか。最近は、特に最近の若手社員たちの行動を指して、「受け身だ」ということが言われがちであるように感じます。

つい先日も、第二新卒クラスの社員数人を採用し、研修中の会社の担当者に話を聞くと、「指示したことは一生懸命にやるのですが……」と言いながらこんな言葉を続けます。

「本人が頑張ればできると思う課題を与えているのに、自己判断で難しそうだと思うと、すぐに“無理です”と言ってくる」

「もっと上を目指すというか、できないかもしれないが、でもやってみますというような姿勢がほしい」

さらに、こう言っているのは自身も入社して4、5年のまだ20代の社員で、この話を上司に伝えると、少々苦笑しながら「その言葉を本人にもそのまま返したい……」などと言います。
「今どきの若者は……」という批判が、古代エジプトの記録にもあったといわれていますが、こんな話を聞くと、「受け身な姿勢」という指摘も、これと同じ世代間ギャップのニュアンスを含んでいるのかもしれません。

「受け身」ということに対しては、多くの年長者がこれを「やる気がない!」などと叱責したりします。前述の会社でも、「今一つやる気が感じられない」などという批判がちらほらと見られます。

ただ、私はこの「受け身であること」と「仕事のやる気」を結び付けるのは、多くの誤解を含んだ適切とは言えない取り上げ方だと思っています。

まず、会社組織の中で仕事をするうえで、「受け身でない仕事」がどのくらい存在するのだろうかということです。
社長をはじめとした経営陣や、大きな権限を持った上級の管理職であれば、自ら仕事を作り出していくために、受け身の姿勢ばかりでは好ましくないことは分かりますが、そうでない社員は、少なくとも仕事の入り口では「会社の方針」「上司の指示」など、ほとんどが受け身から始まっているはずです。新人や若手社員であれば、さらに具体的な指示をされることも多いでしょう。

もしも社員が「受け身」を排除して自己判断で動きはじめたとしたら、組織の収拾はつかなくなります。ある程度の「受け身」を前提にしなければ成り立たないのが組織であり、そこで求められるのは「会社や上司にとって都合が良い」という条件付きの積極性です。にもかかわらず、「受け身」という部分だけをとらえて「やる気がない」などと言われるのは、本人にとって心外なことでしょう。

もう一つ、若手社員たちの話をいろいろ聞いていると、「受け身なのはやる気がないから」などと言い切るのは、ちょっと勝手な決め付けではないかということです。

例えば、仕事に対していつも前向きな気持ちを持っていて、「できることは何でもやろう」「何とか役に立てるようにしよう」と思っている新人がいたとします。
でも上司はいつも忙しそうだし、まだ戦力にならない自分のせいで時間を取らせてしまうのは申し訳ないと思っていたとしたら、一体どんな行動を取るでしょうか。

上司が忙しそうにしていても、それに構わず「何かありませんか」とアプローチをする人がいる一方で、いつ指示されてもいいように、準備万端、やる気満々で仕事をもらえるのを待っているという人もいます。

前者と比べれば後者は「受け身」かもしれませんが、では前者が良くて後者はダメかというと、一概にそうとは言えません。積極的で行動的という点では前者が優れているでしょうが、相手の事情を考えずに自己中心的な気持ちで、自己アピールのために行動しているかもしれません。
相手の事情を考え、それに配慮するということでいえば、後者の方が優れているという見方もできます。

「やる気」という言葉と「受け身」という言葉は、一見相反するようですが、「やる気」という主観的なものを、「受け身」という見た目の様子だけで決め付けてしまうと、お互いの認識が食い違ってしまうことがあります。本人は「やる気満々」なのに、上司から「やる気がない」などと指摘されては、自分はどうすれば良いのかが混乱して分からなくなってしまいます。

このように、個人的な価値観や思い込みで決め付けると、実態とは違ってしまうことがあります。
受け身を一方的に批判するのではなく、「受け身でなければ組織で仕事をするのは難しいということ」「“やる気満々の受け身”という人もいるということ」は、ぜひ認めてあげて欲しいと思います。

次回は3月28日(火)更新予定です。

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この記事の著者

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小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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