第43回 新人の「マニュアル主義」には良いところもあるという話

最近の新入社員に対して、自分でやり方を考えない「マニュアル主義」という批判がありますが、逆から見ればそれゆえの良いところもあります。これからはこんな点も意識した指導が大事になってきています。

新人の「マニュアル主義」には良いところもあるという話

私もいくつかの企業で、新人研修や若手社員の研修をお手伝いしますが、最近よく言われることで、特に新入社員や若手社員が、何でも決められたマニュアルに頼ってしまう「マニュアル主義」という話があります。実際に研修をおこなっている中でも、こういう場面には結構頻繁に遭遇します。やり方が分からないようなことがあると、すぐに「何かマニュアルはないですか」と聞いてきます。

これはある会社の新人研修であったことですが、ビジネスメールの書き方の演習で、参考資料は書籍でもネットでもどこから持ってきても良いこととして、課題に取り組ませたときのことです。
みんな一生懸命「マニュアル」になりそうな資料を探しますが、そこで課題に応用できそうな文例を探しあてたまでは良いとして、その文例が想定している内容と実際の課題との違いを、あまり考えずに丸写しでそのまま使ってきたりします。
例えば、演習課題は「顧客打ち合せのスケジュール調整」の文面なのに、顧客に向けた御礼メールの文例を参考にしたのか、最後に「取り急ぎ御礼まで」などと書いてきます。

このあたりはちょっと指摘をすれば、ほとんどの人が気づきますが、中には「えっ、だって文例にはこう書いてありますけど……?」という様子で、クエスチョンマークいっぱいの顔でキョトンとする人もいます。
もちろん、もう少し説明すれば理解してくれますが、それまでの間は「マニュアルに書いてあるとおりにやったのになぜダメなのか?」という感じがありありです。

こういう部分をどのように指導していくかは、なかなか悩ましいところです。
一つ考えられるのは、できるだけ多くのマニュアルを、徹底的に整備するという方法です。
パート雇用が多いサービス業や、非熟練の従業員が多いような会社では、こういうやり方をすることがありますが、マニュアルに頼りすぎる弊害として、書かれていなかったという理由で想定外のトラブルを見逃してしまったり、気づくことができなかったりということもあります。

最近ではマニュアルの記載は最低限にとどめ、実地の研修を通じて鍛えるという会社が増えています。全ての仕事をマニュアル化するというのは、やはりあまり現実的ではないのだろうと思います。
多くの会社が実際にどうやって指導していくかといえば、マニュアルは活用しながらも、そこから外れたことが何か起こればそのつど指摘して、経験として少しずつ覚えていってもらうということになるのでしょう。

マニュアルに頼りすぎる姿勢に対して、特に40代、50代といった中高年世代では、「自分で考えない」「想像力、応用力がない」「何でもマネしかできない」などと否定的な捉え方をする人がいます。少なくとも「マニュアル主義」などといわれれば、あまり良い受けとめができないのは仕方がないでしょう。

「マニュアル主義」の欠点として、想像力や応用力という点では確かに指摘されるような側面があるかもしれませんが、逆に利点を考えると、「決められたことには真面目に取り組む」「決まっていることを受け入れる素直さがある」「ルールは守る」「勝手に違うことをしない」といった面があります。
また、自分の中で一度ルーチン化することができれば、その後は的確にできる、一度覚えてしまえば忘れないという特性もあります。

初めのうちは想像以上に手がかかりますし、ついつい「こんなことまで言わなければダメなのか……。」などと思うこともあるでしょう。しかし、「マニュアル主義」の特性から見れば、初めの軌道に乗せるところまで、一度身につけるところまでの辛抱で、そこさえ乗り越えれば、少なくとも与えられた仕事はきちんとこなせるようになります。勝手に物事を進めないという安心感はあります。

「マニュアル主義」と言われがちな新入社員、若手社員の指導は、今まで以上に「はじめが肝心」となっているということです。
ついつい苦言の一つも言いたくなるかもしれませんが、「初めは誰でもそんなもの」と割り切って、根気よく指導していくことが大切になっています。

次回は4月25日(火)更新予定です。

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この記事の著者

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小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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