第21回 時間を守る会社と守れない会社との間にある一つだけの違いのお話

コンサルタントとして、いろいろな会社とお付き合いをさせていただいていると、その会社で行なわれる社内行事に招待していただくことがあります。社内旅行や忘年会、新年会といった宴会、その他レクリエーション行事といったものです。私にとって、声を掛けていただけるのは大変うれしいことですし、仕事から離れた社員の方々と直接触れ合うことで、その会社の社風や社員の人柄を、さらによく知ることができるという仕事上のメリットもあります。

特に昨年末は、例年になく多くの会社から会社主催の忘年会に呼んでいただきましたが、そんな中のある会社で、ちょっと感心したことがありました。

その時は、私の前の予定が少し押してしまい、会場におうかがいするのが、開始時間のギリギリ5分前になってしまいました。ただ、会社の忘年会というのは、大人数のパーティー形式などでもない限り、人数が集まっていないせいで、予定した時間どおりには始まらないことがほとんどなので、まあ大丈夫だろうという感じで思っていました。

しかしこちらの会社、私が到着した時にはすでに全員そろっていて、まさに乾杯の準備を始めようかというところでした。私の経験の中ではめったにないことです。

その理由は、会場が会社に近いとか、社内会議の後に設定されていて集まりやすいとか、そんな事情はあるにしろ、私が見ている限りは明らかで、こちらの社長や部長、その他管理職がそういう方々なのです。

「前から決まっている予定なのだから、自分でちゃんと段取りをして調整しろ」ということで、遅れたりすればきっと怒られるのだと思います。仕事であろうと遊びであろうと、時間を守るということには厳しく、なおかつそれが浸透しているのだと思います。

私の今までの経験で言えば、“時間を守れない会社”は、実は意外に多いです。その中でも最も多いのは、「打ち合わせが時間どおりに始まらない」という会社です。予定時間になっても出席者がなかなかそろわず、5分、10分という時間が毎度当たり前のように過ぎていきます。これは、他の社内会議でも、宴会ほかの社内行事でも、時間どおりに始まらない状況はまったく変わりません。会社全体がそういう風土になってしまっているのでしょう。

ただし、こういう会社の方々でも、社外でのアポイントとなると、きちんと時間を守ります。たまに私どもの事務所にお越しいただいたり、社外でお会いしたりするようなときでは、約束時間に遅れるようなことはありません。全員そろって時間どおりにお越しになります。外出する方が時間も取られるはずですが、その点はあまり問題ではなさそうです。

こんなところから見える、時間を守る会社と守れない会社との違いというのは、結局は「当事者の意識の問題」だけなのではないかということです。

“仕事優先”、“顧客優先”などと言いながらも、実際にその時どうしても優先しなければならないほどの事情があることは少なく、心のどこかで「この相手なら」「この会議であれば」「別に遅れてもいいだろう」とルーズに考えているだけということがほとんどではないでしょうか。

考えてみれば、社外のアポイントには遅れないのに、社内会議にはいつも遅れる、仕事上の待ち合わせ時間は守るのに、宴会にはいつも遅れるというのはおかしなことです。“仕事優先”、“顧客優先”などと言えば、何となく許されてしまっているのかもしれませんが、約束した時間を守っていないことに変わりはありません。

“時間を守れない会社”の多くは、残業過多、エンドレスの会議、勤怠不良、その他時間の使い方にかかわるような、仕事上の非効率につながる課題を抱えています。やはり一事が万事です。

この手のことは、当事者の気づきを待っているだけでは、残念ながら解決できません。誰かがリーダーシップを取り、毅然とした態度で日ごろの意識付けや習慣づけを行うしかありません。

ある会社の社長は、社内会議での時間のルーズさに怒り、ある日の管理職会議で遅刻者を会議室から締め出したところ、その後会議に遅刻する者は一人もいなくなったそうで、会社全体に時間厳守のムードが作られていったそうです。

“時間を守る会社”の様子をみていて、リーダーシップに基づく意識づけや習慣づけの大切さをあらためて感じているところです。

次回は月6月23日(火)更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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