第77回 「オフィス環境」で見える社風や価値観の話

昨今はオフィス環境の整備に注力する会社が増えていますが、そこには社長や社員の考え方や性格、社風といったものがいろいろな形で見え、そのことを認識しておけば「オフィス環境」を組織改革に生かすこともできます。

「オフィス環境」で見える社風や価値観の話

昨今は多くの企業で人手不足の状況があり、「職場環境の向上」が重視されています。職場の人間関係などは、その中の大きな要素ですが、最近では実際に仕事をするオフィスのレイアウトや雰囲気、設備の有無や備品の使い勝手などの、「オフィス環境」が、それと同じくらい重要視されるようになっています。

会社として「何を優先するか」

例えば、最近私が訪問した一部上場企業では、受付にタブレットとつながった電話があって、訪問先を部署名、個人名、内線番号などで検索して、相手と直接連絡を取るシステムでした。連絡が取れないときは代表受付が応対してくれます。社員全員に番号が割り振られているので、ただ取り次ぐだけの仕事はほとんどないので効率的です。
受付の自動化は、会社によって仕組みに違いはありますが、多くの会社で取り入れられています。

そうかと思うと、今でも受付に女性が並び、接客対応してくれる会社があります。人と接することでの安心感や温かさは確かにあります。そういえば、ある飲食チェーンで券売機を使った方が効率的だが、「顧客とのコミュニケーションの一環」として、あえて人が接客することにこだわるという話を聞いたことがあります。会社として「何を優先するか」の考え方の違いです。

「オフィス環境」から見られる社風や価値観

その時私が訪問した会社で通されたのは、普通に社員が使えるらしい応接室でしたが、上層階で眺めが良く、応接セットの机や椅子も立派です。やはり上場企業は「オフィス環境」への投資の仕方が違い、中小規模の企業では太刀打ちできないのはやむを得ません。

ただそんなレベル感に差があっても、私がいろいろな会社に伺う中で感じるのは、「オフィス環境」には社長の考え方や性格、それに伴う社風や価値観といったものがかなりはっきり見えるということです。
業種や仕事のスタイルによっても違いはありますが、例えば社員が増えて伸び盛りのIT企業などは、デザインがおしゃれだったり、デスクワーク中心ということもあり机や椅子は結構こだわって選んでいたりします。
また、空間が広々とした開放的な造りだったり、反対に半個室のような集中しやすいレイアウトだったり、そんなさまざまなスタイルの作業場所が幾つも用意され、社員がその時の仕事内容によって場所を選ぶことができるようになっていたりします。

ある知人の会社は、社員は50名に満たない会社ですが、とてもおしゃれなオフィスでした。社長がインテリアや内装に興味があって、自分で設計したそうです。有名企業のオフィスを研究して可能な範囲で機能を取り入れながら、DIYも含めて安価で仕上げることができたと言っていました。
社員同士の関係はフラットでオープン、かつカジュアルですが、マナーや時間のけじめにはルーズさも見受けられるので、年長者から見ると「礼儀がなっていない」と思うかもしれません。良くも悪くも今風のオフィスに今風の社員というイメージです。

逆にそういった「オフィス環境」には一切こだわりがないという知人の社長もいます。その会社のオフィスは、まさに昔の役所のような地味で質素なものです。IT系の会社なのでそれなりに先進の業種のはずですが、あまりそういった感じはしません。ただし何となく殺風景ではあるものの、パソコンなどは最新のものですし、整理整頓されていて仕事はしやすそうです。
この社長はファッションなどにも頓着がなく、飲みにいっても安い居酒屋が好きな人で、いかにもその人らしいイメージのオフィス環境です。本人は「もっとほかにお金をかけたいことがある」と言っています。
こちらの社員はオフィスの雰囲気と同じく、地味で真面目で目立ちたがらない人が多い印象です。

ほかにも、例えば体育会的な営業会社ではオフィスが何となく部活の部室みたいだったり、クリエイティブワークの会社だと、仕事に関係ない遊び道具がいろいろと並んでいたりします。
「オフィス環境」に対する意識というのは、社外からの視線を気にしている場合もありますが、どちらかといえば、社長や社員などのそこで働く人たちが、もともと持っている価値観につながっていることが多いです。

仕事への向き合い方が表現される「オフィス環境」

私が「オフィス環境」について思うのは、今ある形は社長や社員の仕事への向き合い方が表現されているという認識を持つべきということです。
ある会社で会議室に通されたとき、前の来客の茶器がそのまま置いてあったことがありました。イスがバラバラになっていたり、机が汚れていたりということもありました。おしゃれな造りの会議室でしたが、せっかくの部屋が台無しです。
そういう会社にお話を伺うと、「チームワークが良くない」「お互い周りを気にしない」「あいさつをしない」「礼儀がなっていない」などの話が必ず出てきます。何となく散らかっていたり、雑然としていたりするような会社は、やはり仕事の進め方もそうなっていることが多いです。組織風土が「オフィス環境」に表れるのです。
もしも望ましい人材に好まれない「オフィス環境」になっていたとしたら、採用活動や社員定着にも悪影響があるでしょう。

「オフィス環境」を組織風土改革に活用

組織風土改革の一つの方法として、「オフィス環境」を変えるという方法があります。
デスクや椅子が新しくなれば、みんな大事に使うようになりますし、周囲のデスクが片付いていれば、自分だけ書類を積み上げてはおけません。人が集まるリフレッシュスペースは、お互いのコミュニケーションが増します。会議室の管理を徹底すれば、後に使う人への気遣いができるようになります。
あえて「オフィス環境」を変えてみることで、組織風土が変わり、それまでの組織課題が解決されることがあります。
まず形から変えることによって、人の行動は変わります。

「オフィス環境を整備する」という最近の世の中の流れもあり、いろいろな人から「いったいどこまで取り組めばよいのか」という質問を受けます。「大手企業のようにはできない」といった声を聞きますが、私はあくまで「自社の身の丈で」「できる範囲の最善で」と言っています。決してお金をかけて豪華にすればよいものではありません。

「オフィス環境」は、社長や社員の性格や考え方、社風を映し出す鏡であり、そこから見えることがたくさんあります。

次回は2月25日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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