第59回 「人付き合いが苦手」という社長の周りで起こることの話

「人とのつながりや人脈が大事」という人は、社長をはじめ組織をまとめる立場で多いですが、中には「人付き合いが苦手」という社長もいます。その周りでは、他人にカバーしきれない難しい事象がいろいろ起こります。

「人付き合いが苦手」という社長の周りで起こることの話

ある調査によれば、「仕事をしていて、社外の人脈の必要性を感じますか?」という問いに対して、ほぼ8割の人が「必要と感じる」と答えていて、その傾向は年代が上がるほど高まっていくのだそうです。

会社にいれば、周りには常に同僚や仲間がいて、社外の人脈がそれほど必要とは思わない人も多いかもしれません。しかし私のように組織から独立した立場での経験でいえば、自分一人でできることには限りがありますし、そんなときには人付き合いから生まれたつながりにいつも助けられてきましたので、その重要性は常に感じています。
会社の中でも、経営者や組織を率いる立場になれば、自分が判断しなければならない場面は増え、反対に社内で相談できる対象の人は少なくなっていきます。
その判断力を養うには、社外を含めた視野の広い情報が必要になり、そんな中では社外のつながりが重要になってきます。
年齢と共に、その必要性を感じる人が増えてくるという話も、実感としては理解できるところです。

ただ、これも人それぞれで、「人とのつながりや人脈が大事」という人と、「そんな仕事のしかたは合理的でない」という人はどちらもいます。両方のバランスが必要ですが、経営者の方々は、概して人付き合いが好きで、「人と会うのは大事」「人脈が大事」とおっしゃる人が多いです。

一方、私が今まで出会った中ではごく少数ですが、そんな人付き合い重視の社長とは正反対に、「人付き合いが苦手」という人がいます。
一般的な経営者のイメージとしては想像しづらいですが、世の中の社長がみんな、人付き合いが大好きな人なわけがありませんから、そういう個性の社長も当然いるわけです。

ある知人の社長は、まさにこの「人付き合いが苦手」という人でした。もともと人見知りで、さらに出不精なところがあって、あまり行動的ではありません。面識のない人と会ったり、多くの人と交流したりすることは、本人が最も苦手とするところです。
それではダメなことを、本人もある程度自覚をしていて、自分なりに改善する意識はありますが、どうしても人と会う機会を避けようとするところがあります。仕事上の関係先だけでなく、もともとの知人や友人であっても交流機会が少ないくらいなので、心底そういう人なのです。

この社長の性格によって不足する部分は、必然的に周りの社員たちがカバーすることになりますが、「人付き合いが苦手」というこの社長の周りでは、こんなことが起こっています。

まず、経営トップの人脈が少ないとなると、トップ営業のような引き合いは、当然ですがほとんどありません。そもそも人と会う機会が少なく、外出もあまりしないので、社内をウロウロしていたり、社長がやらなくてもよいような事務作業や、管理資料の取りまとめなどをしていたりします。

また、社長という立場では、儀礼的に誰かに会ってほしいなど、部下からの対外的な面会依頼があったりしますが、そういう際にも「任せた」などと言って会わずに済まそうとしたり、アポイントを先延ばしにしたりします。
それでは対外的に顔が立たないことがありますし、そんな態度から非常識な会社と見られてしまう恐れもありますから、部下たちはこの腰が重い社長を、なんとかその場に引っ張っていかなければなりません。
最終的には面会はしますが、そこに至るまでに結構手間が掛かります。

さらにこの社長は、業界情報や生の現場情報を、人を介して得る機会が少ないので、持っている情報量が少なく、メディア情報による一般論のようなことばかりを語ります。本はよく読み、勉強もしていますが、どうしても現場感にうとく、部下との議論がすれ違うこともしばしばです。ただしこの点は、勉強家を自負する本人に、あまり自覚はないようです。

「人付き合いが苦手」の中には、“コミュニケーションが苦手”という面もありますが、そのせいか、社員の意見をくみ取るようなことは、あまり得意ではありません。やりすぎというような施策や、反対に見て見ぬ振りの状況が、ごく当たり前に出てきます。
このように、いくら「周りの人がカバーする」とはいっても、そうはできないことがしばしば起こります。

こうやって見てくると、「人付き合い」「人脈」の重要度は、年齢や組織内の立場が上がるほど確実に増してきます。それが社長ともなれば、なおさらのことです。
そう考えると、どこにいるか分からなくても誰かに会っている社長の方が、誰にも会わずに社内にいる社長よりは、よほど役割を果たしているといえます。

いろんなタイプの社長がいて、それはその人の個性です。しかし、この「人付き合い」「人脈作り」に関しての一定以上の能力は、私は少なくとも社長としての必須要件ではないかと思っています。

次回は8月28日(火)更新予定です。

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この記事の著者

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小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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