第54回 「仕事の悩み」は女性の方が多いらしいという話

ある調査によれば、「仕事の悩み」を抱える女性は男性の2倍以上とのことで、さらに人間関係に敏感な様子がうかがえるようです。こういう点は性差にかかわらず職場ぐるみで理解していかなければなりません。

「仕事の悩み」は女性の方が多いらしいという話

以前目にした情報で、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が「働く人の電話相談室」で受け付けた相談のうち、約6割が女性からのもので、悩みを抱える人が男性の2倍以上に上っていたそうです。
相談があった悩みの3割は「職場の悩み」ということで、さらにその中の4割は「人間関係」、ここに「パワハラ」や「いじめ」といったものまで含めると、7割近くが「同僚」や「上司」との人間関係に関わるものだったということです。

参考
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

女性の方が周囲との人間関係に敏感で、なおかつ繊細ということが言えるのかもしれませんが、私の経験の中でも、男性である私にとっては、気にしすぎ、細かい、わがままと思ってしまうような、ちょっと理解しきれない意見や要望は、今までに何度もありました。

これは、ある会社の女性社員から私に言われたことですが、「○○さんが視界に入って目障りで仕事がしづらいので、席替えをするように会社に伝えて欲しい」と要望されたことがあります。「気が散る」「仕事の能率が下がる」「だから変えてほしい」と、きわめて本気の真顔で言ってきます。

その時の私は、あまりに大人げない要望のように感じ、「そんな子供っぽい個人的な感情には、会社としては対応できないでしょう」と伝えました。ただ、こういう要望を本気で出してくるということは、彼女にとっては切実な問題で、当然の行動だったのでしょう。

これは極端な例なのかもしれませんが、働く女性たちから聞く話では、男性同士ではあまり無い、女性特有といってもよいような人間関係に関することをときどき耳にします。

これはある知人の女性から聞いたことですが、普段いつも車を使って移動している人なのに、勤めているパート先だけは自転車で行くので、その理由を聞いてみると、職場を仕切っている古株のパート女性数人が、数少ない駐車場を占有しているので、他の人は車では通勤できないのだそうです。不満があってもとても言い出せる雰囲気ではないそうです。

またある会社では、勤務態度も良く評価も高い女性社員が急に退職したいというので、その理由を聞くと、ある同僚女性と一緒に働くことが嫌だと言います。くわしく聞いても仕事を辞めるほどのことはないように感じましたが、本人にとっては大問題のようでした。配置換えを打診しても、そもそも視界に入ってくることが耐えられないので、無理なのだそうです。
他にも、一緒に働く女性同士の人間関係を理由にして、転職を考えたり異動を希望したり、産休からの復職を躊躇する人がいたりするという話は、よく聞いていたことです。

男性の目線で見ると、些細だと思うことや、「感情的」「わがまま」「自分勝手」に見えてしまうことでも、女性にとってはかなり深刻な場合があります。

女性の活躍を考える中では、こんな女性ならではの問題にも注意を払い、環境作りをしていく必要があります。多くの会社では、管理職の男性比率がまだまだ高いですから、女性特有の悩みには気づかないことが多いでしょうし、もし気づいたとしても、取るに足らない些細なこと、面倒なこと、自分勝手なわがままこととして扱っていることも多いのではないでしょうか。

女性活躍のための環境作りは、配偶者控除のような税制や、管理職の女性比率、出産・育児に対する支援などの話が大きく取り上げられます。これらの施策も重要とは思いますが、どれも男性的な発想が強い中で組み立てられたもののように感じます。
また、実際の現場を見ていると、実は職場の小さな人間関係をどうにかすることの方が、当事者である女性たちにとっては重大問題です。

こんなことを言っている私自身も、どうしても男性目線が強くなり、こういった女性の気持ちは正直理解しきれないところがあります。しかし、このあたりは円滑な組織運営という目的のために、男性の立場からでもその気持ちを理解するように心がける必要があるのだと思います。
男性、女性を問わず、どちらも働きやすい職場を作っていかなければなりません。

次回は3月27日(火)更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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