第12回 社長と幹部社員に相互不信がある会社でのお話

いろいろな企業をお手伝いしていて、会社の方々とのお付き合いが深まってくると、俗にいう「会社のグチ」にもよく出会うようになります。
私たちコンサルタントは、会社の事情は良く知っているが社内の人間ではない、身近ではあるが第三者の立場ということで、特に経営者や幹部社員の方々にとっては、社内ではなかなか言えないことでも、比較的話しやすい相手ということになるようです。
そうやって信頼して頂けることは、こちらとしても大変うれしいことではありますが、一方で「会社のグチ」などは少ないに越したことがありませんので、私たちにその手の話題が降りかかってくる状況は、実はあまり好ましいことではないのかもしれません。

このグチの中身というのは、事業そのものの進め方、日々の仕事への取り組み方、その人の行動や言動、その他多岐に亘りますが、根本をたどっていくと、そのほとんどが「社内の誰か」との「コミュニケーション」にまつわる話です。
私たちが関わる企業は大手から中小零細まで規模までさまざまですが、特に経営者や幹部社員から「会社のグチ」のたぐいの話が出てくるのは、どちらかといえば中堅から中小以下の規模の会社が多いと感じます。

このあたりの規模の会社では、大企業に比べると経営者、幹部社員、マネージャー、現場のそれぞれの関係が比較的近いことが多いですが、それぞれが近しい関係であるがゆえに、「これくらいは理解してもらえている」「言わなくてもわかるはず」「こんなのは当たり前」などと言い、お互いが以心伝心を期待しているようなところがあります。
しかし実際には、それぞれの勝手な思い込みなどから、お互いの考えが理解できていなかったり、それが原因で相互不信になっていたりすることが多々あります。

「それならばお互いにきちんと話し合えば良い」と思うかもしれませんが、これがそうそう簡単には行きません。
特に経営者と幹部社員というような間柄であればなおさら、相手に対して「こんな行動をして欲しい」「こう考えて欲しい」「自分の意図をわかって欲しい」などの思いが強く、当事者同士が話してもなかなかかみ合いません。
それぞれが思っているルールで、レフェリーなしで戦っているようなものです。
組織内では立場が上の人たちなので、間を取り持とうにも、それを担うことができる人は組織の中にはなかなかいません。

こんな状況の時、私たちのようなコンサルタントが、第三者の立場でお互いの行き違いを取り持つことがあります。
先方から依頼されることもありますし、こちらからご提案することもあります。
場の設定としては、個別面談、社内ミーティング、研修のような業務外のセッション、その他いろいろありますが、やってみると思いのほかすぐに問題が解決してしまうことがあります。「いったい今まではなんだったの?」と思うほどです。

この理由はいくつもあると思います。
「第三者がいることで冷静に話そうと心がける」
「他社事情や世間一般の話を聞くことで、自分なりに納得できる」
「言いたいことを間に入って翻訳してもらうことで、お互いの勘違いや誤解が解ける」
などなど・・・。

こういう場面に実際に関わるたびに思うのは、組織の身内だけでは、なかなか解決しきれないことが確かにあるということです。
そしてこんな形でお役に立てることは、私たちコンサルタントにとっては大きな喜びでもあります。社外人材の活用例として参考にして頂ければ幸いです。

次回は月9月30日(火)更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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