第11回 「良い雰囲気」を取り違えている会社のお話

企業の採用活動で面接のお手伝いしている中で、定番の質問に「志望動機」がありますが、この質問に対して、「会社の雰囲気が良い」という答えを聞くことが意外に多いです。
どんな人でも、「良い雰囲気」の中で仕事をしたいと考えるのは当然ですから、こういう答えが良く出ること自体は納得できるものです。

ただこの「良い雰囲気」というのは、本来は個人の主観であって、雰囲気の捉え方は人によって違います。
「いったいどんな雰囲気が好ましいのか」ともう一歩踏み込んで聞いてみると、「話しやすい」「明るい」「ギスギスしていない」などという答えがほとんどです。社員同士が比較的フラットな関係で、おだやかに接するようなイメージなのだろうと思います。

ある会社におうかがいした際の第一印象で、まさにこの「良い雰囲気」を感じたことがありました。
社員はみんな明るく会話をし、ギスギスした感じはこれっぽっちもありません。ご担当者も「うちの会社はみんな仲が良くて雰囲気も良いんですよ」とおっしゃいます。
一見すると確かにその通り、なかなか良い感じの会社です。

ただ、残念ながらこの会社は、あまり業績が良くありませんでした。
例えば連戦連敗の野球チームがあったとして、本来そんなチームの雰囲気が良いはずはないですが、一見した雰囲気ではそんな印象はありません。

その後、ほんの少しの間だけ様子を観察させて頂いて、そこでわかったことがありました。
社員同士は確かにいろいろ会話していますが、どうも仕事に関わると思われる会話の頻度が圧倒的に少ない印象なのです。
失礼ながら、どうでもいいような雑談のたぐいが大半で、その手の話をいつまでもダラダラと続けながら、その合間に何となく仕事をしている感じです。
その様子を誰かが注意することも、私が見ている限りではありませんでした。

一見した雰囲気は、確かに明るく、話しやすく、お互いの仲が良さそうで、ギスギスしていないものでしたが、仕事をする場の雰囲気としては、あまり好ましいとは思えません。
私の目から見ると、「明るさ」というより「軽さ」や「ルーズさ」、悪い意味での「子供っぽさ」や「無責任さ」といったものが感じられてしまいます。

この状態を雰囲気が良いと言うのであれば、それは「雰囲気が良い」ということと、結果を出そうとしない馴れ合い、単なる仲良しとを混同しているのではないかと思います。

他の会社でも、同じような軽さやルーズさを感じる場面は、意外にたくさんあります。
例えば、社内研修中に必要以上に調子に乗って笑いを取ろうとしたり、厳粛な式典の最中にやたらと私語をしたり、上下関係を必要以上に嫌ったりというようなことです。

一見した雰囲気が良さそうでも、そこに結果が伴っていないのであれば、もしかすると本当は厳しく言わなければならないことを言おうとしていない、必要以上にお互いを干渉しない希薄な関係、他人にするべき要求をしない、目標レベルが低い、向上心がない、などという問題が潜んでいるかもしれません。

やはり「結果を得る」ために必要なのが「雰囲気の良さ」であり、その結果が出てこその「雰囲気の良さ」でもあります。
単に気楽で居心地が良い状態を「雰囲気が良い」と言っているとしたら、「雰囲気が良い」ということを勘違いしていると言わざるを得ないと思います。

次回は月8月26日(火)更新予定です。

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