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第40回 “ジタハラ”って何? 「働き方改革」推進の裏で新たな被害が急増中……
多くの企業が取り組む「働き方改革」で、「時短」を重視するあまり、新たなハラスメント(嫌がらせ)が生まれているようです。それは「ジタハラ(時短ハラスメント)」。今回はそんな“ジタハラ”の実態と具体的な対策についてお伝えします。
“ジタハラ”って何? 「働き方改革」推進の裏で新たな被害が急増中……
今年に入り、多くの企業が取り組む「働き方改革」では、「違法な長時間労働の是正」が重要なキーワードになっています。しかし、「時短」を重視するあまり、新たなハラスメント(嫌がらせ)が生まれているようです。それは「ジタハラ(時短ハラスメント)」。会社が従業員に「時短」を強要することから、そのように呼ばれています。
今回はそんな“ジタハラ”の実態と具体的な対策についてお伝えします。
「定時に帰れ」 会社員の4割以上が“ジタハラ”に苦悩……
高橋書店が発表した「働き方改革」に関するアンケート調査の結果によれば、「働き方改革」に取り組む企業に勤める人の約4割が“ジタハラ”被害につながる悩みを抱えていることが分かりました。
まず、「あなたの会社で『働き方改革(長時間労働の改善)』は行われていますか?」という質問に対し、53.4%の人が「行われている」と回答。さらに、「あなたの会社で『働き方改革(長時間労働の改善)』に関する取り組みが導入されたことで困っていることはありますか?」という質問では、「働ける時間が短くなったが、業務量が以前のままのため、仕事が終わらない」と回答した人が41.5%と、4割以上の人が残業せずに“定時に帰れ”と急かされていることが分かりました。業務内容や仕事の進め方についての見直しや体制の整備が追いついていないため、現場が混乱している現状が浮き彫りとなりました。
「残業抑制」は生産性向上の“カギ”
こうした“ジタハラ”は、現場の状況や各人の業務量などをよく理解していない上層部が「早く帰れ」と残業を禁止し、仕事が終わっていなくても定時退勤を求め、長時間労働を改善する具体的な対応策がないままに業務を強制終了させることで起きています。その結果、取引先との調整で板挟みになったり、持ち帰り残業が発生したり、働き方改革どころか“隠れブラック企業化”の横行が懸念されているのです。
長時間労働が原因と考えられる心の病が増加し、労働環境の改善が社会的に求められています。残業の多い企業は政府によって公表され、信頼の低下や離職につながり経営に影響を与えかねません。少子高齢化で労働人口が減少していく日本では、新しい働き方で働く「時間」を減らし「質」を上げる対策が必要です。
自宅や外出先で仕事ができるテレワークを導入するなど、仕事の質を落とさずに労働時間を短縮する方法もありますが、従業員が定時になったら帰れるような雰囲気づくりも重要です。残業は当然と思っている従業員の意識を変えるには、ITの力を借りる、身近な取り組みから始めるといった方法が良いのではないでしょうか。
働き方改革には、多様な働き方の実現に加え生産性向上への取り組みが欠かせません。企業力向上にもつながるシステムに求められることを1ページで分かりやすく解説します。
働き方改革(ERPナビ)
次回は2018年1月上旬の更新予定です。