第15回 運送業の改善基準告示対応~(4)430休憩~

前回までは、運送業の事務所が管理しなければいけない内容が中心の内容でしたが、今回は、ドライバー自身で管理が必要な4時間連続運転の防止(430休憩)について考えてみたいと思います。

運送業の改善基準告示対応~(4)430休憩~

前回のコラムでは、「年間の拘束時間の限度」についてお話をさせていただきました。ここまでは運送業の事務所が管理しなければいけない内容が多かったのですが、今回はドライバーが自分で管理しないといけない、4時間連続運転の防止(略して430休憩ともいいます)についてお話ししていきたいと思います。

運送業のドライバーが業務中に連続して運転できる時間は4時間まで

全日本トラック協会(トラック事業者のための労働法のポイント)に、

連続して運転するのは、4時間が限度です。4時間経過したら運転を中断して30分以上の休憩等(非運転時間)を確保しなければなりません。

と記載されています。

4時間も連続で運転しないでしょう? と運送に関わっていない方は思われるかもしれません。しかし、運ぶことがメインの業務である運送業のドライバーの運転時間は、気をつけないと「あっ」という間に4時間を超えてしまいます。
当社アプリケーションの実績データの分析によると、430休憩の1日あたり違反発生率は、1社あたり20%前後です。50台運行していたら、10台前後は430休憩が確保できずに運行していることになります。
取得できなかった理由はいろいろあると思いますが、やはり大変な仕事です。

「430休憩」の取得方法は大きく分けて二つ

誤解されやすいのですが、430休憩は、4時間運転したあとに、30分休憩しなさいといっているわけではありません。

  • 4時間連続で運転したあとに休憩しないといけないのではない
  • 30分以上休憩してはいけないのではない

逆説的に整理すると、このようにもいえます。

また、説明文には、追加で以下のようにも説明しています。

ただし、運転開始後4時間以内または4時間経過直後に運転を中断する場合の「休憩等」については、少なくとも1回につき10分以上としたうえで分割することもできます。

図にするとこういうことをいっています。

言い換えると

  • 4時間30分の間に30分の「休憩等」を確保しなさい
  • ただし、1回あたりは10分以上でなければならない

ということです。

業務が忙しく、30分連続で「休憩等」が確保できないのであれば、このような「休憩等」の取り方をドライバーに指示・指導しなければいけません。

「休憩等」は休憩だけを指しているのではない

この30分の取り扱いについて、「休憩等」とわざわざカギカッコを用いて記載しました。実は「休憩等」=「休憩」ではないのです。これは非運転時間のことを指しており、「積込」「荷おろし」「待機」なども「休憩等」に含まれます。つまり運転の合間に10分以上のこういった作業があるのであれば、4時間30分の間に非運転時間が確保されることになりますから、430休憩は確保できていることになります。
しかし、休憩は必要なことですから、この30分は休憩に充てる方が良いですし、できるだけ30分以上連続で、かつ労働基準法に適応するために45分以上確保できるようにした方が良いですね。

1社あたり20%前後のドライバーが430休憩を確保できていないということを冒頭でお話ししましたが、こういった分割取得もできないため430休憩違反が出てしまっているという現状を多くの方にご理解いただければと思っています。

次回は2月18日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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