第14回 運送業の改善基準告示対応~(3)年間の拘束時間の限度~

運送業が守らなければならない労務管理ルール「改善基準告示」。日、月と来て、今回は年間拘束時間の限度(3,516時間)について考えていきたいと思います。

運送業の改善基準告示対応~(3)年間の拘束時間の限度~

前々回のコラムから、運送業が守らなければならない労務管理ルール「改善基準告示」について取り上げています。まずは最も重要度の高い「1日の最大拘束時間」について。前回はさらに掘り下げて「月間拘束時間の限度」についてお話をさせていただきました。日、月と来れば、やはり今回は年間のお話になります。年間も拘束時間の限度が定められているのですが、どうしても管理スパンが長いため忘れられがちのようです。今回はこの「年間の拘束時間の限度」(3,516時間)について考えていきたいと思います。

運送業の年間の拘束時間の限度は3,516時間

3,516時間、これはまた大きい数字ですね。管理していくにあたっては、数字が大きいとなかなか感覚がつかみにくいのですが、分解してみると前回のコラムにあった「月間拘束時間の限度293時間」が元になっていると分かります。

293時間×12カ月=3,516時間

つまり「月間の拘束時間の限度」を守ることができないと、「年間の拘束時間の限度」がオーバーしてしまう可能性が高まります。当たり前ですね。

しかし、ルールにはいろいろ落とし穴があるので気をつけなければいけません。このお話をするにあたって、前回の「月間の拘束時間の限度」のお話に少し戻ります。

月間の拘束時間には特例的な要素があります。
月間の拘束時間の限度は293時間ですが、年間6回(6カ月)まで、320時間まで延長することができる(毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合)というルールがあります。これを勘違いすると、とんでもないことになります。

仮に、この月間の上限いっぱいまで働くと、

(1)293時間×6カ月=1,758時間
(2)320時間×6カ月=1,920時間

(1)+(2)=合計3,678時間

となって、1年間の限度(3,516時間)を162時間も超過してしまいます。

つまり月間の拘束時間の限度には、特例的な要素がありますが、年間ではそのような要素はないのです。月間で320時間を超えてしまった場合は、他の月で減らしなさい、ということなのです。
よって、年間3,516時間を超える拘束時間は、特例なしに指導対象となります。

3,516時間を守るためには

拘束時間管理、労働時間管理について、諦めている企業が多いようです。確かに運送業は長時間労働の傾向が強い業種であり、一朝一夕に正規のルールを守ることができるかというと現実的ではありません。正常な状態にするには時間がかかります。だから、できないと思うのではなく、何かを始めて、そこから何が見えてくるかが重要です。

考え方としては、年間の拘束時間を守るためには、月間の拘束時間を守れるようにする。月間の拘束時間を守るためには、日の拘束時間を守れるようにする、というのが大方針です。
1日、1日、全ての1日の拘束時間の限度を守るのは業種的に難しいため、まずは、

293時間-累計の拘束時間=働ける時間

を管理することから始めてみてください。
労働時間・残業時間は休憩時間などが関わってくるため、日々計算しないといけませんが、拘束時間であれば出勤〜退勤までの時間をざっくり算出し、積み上げていけば累計の時間を計算するのは、やれそうではないでしょうか。特定の人にフォーカスを当ててやってみてもよいかもしれません。

あらためてですが、3,516時間の限度は「労働時間」ではなく、「拘束時間」(労働時間+休憩時間)ですので、くれぐれもご注意ください!

次回は2月4日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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