第13回 運送業の改善基準告示対応~(2)1カ月の拘束時間の限度~

運送業が守らなければならない労務管理ルール「改善基準告示」。今回は拘束時間についてさらに深掘りをして、月間拘束時間の限度についてお話ししていきたいと思います。

運送業の改善基準告示対応~(2)1カ月の拘束時間の限度~

前回のコラムでは、運送業が守らなければならない労務管理ルール「改善基準告示」、その中でも最も重要度の高い「1日最大拘束時間」についてお話ししました。今回は拘束時間についてさらに深掘りをして、月間拘束時間の限度についてお話ししていきたいと思います。

運送業における1カ月の拘束時間の限度は原則293時間

一般職種の時間管理は、「拘束時間」ではなく「労働時間」のことを指すことのほうが多いため、運送業はこのあたりが特有といえるでしょう。ちなみに拘束時間とは、

「労働時間」 + 「休憩時間」 = 「拘束時間」

です。

この運送業の拘束時間の限度である293時間とは、どの程度のものなのでしょうか? 一般の職種と比べてみることでコトの大きさが分かってきます。前述のように、一般職種は労働時間で管理されることがほとんどですので、労働時間をベースに考えてみましょう。

法定の労働時間は

  • 1日あたり8時間
  • 週あたり40時間(一部の業務においては44時間/週)

となっていますから、休憩時間を1時間足して拘束時間にすると、

  • 1日あたり8時間 + 休憩時間1時間 = 9時間
  • 週あたり40時間 + 5時間(5日分) = 45時間

ということになります。

運送業では月間の労働日数が25日ぐらいですから、

  • 9時間 × 23~25日=207~220時間

が基本の月間拘束時間となります。つまり休憩時間を毎日1時間取る、ということを前提とすると、

  • 293時間 - 207~220時間=73~86時間(残業時間の限度)

1日あたり約3時間の残業ということになります。

2024年から残業時間の上限規制が年間960時間(80時間×12カ月)になりますが、このあたりの計算からきています。
ところが、運送業の改善基準告示は、そう単純ではありません。拘束時間ということは休憩時間も含まれます。

例えば長距離運行の際など、運行途中に取得する休憩は1回まとめて1時間取るのではなく、2回か3回に分けて、休憩を取ることが多く、また時間もマチマチです。合計すると2時間から3時間の休憩時間を取りながら運行をします。
そうなると、労働時間が8時間であったとしても、3時間の休憩を取っていたら11時間の拘束時間となります。

ここに3時間ほどの残業時間がのってくると、14時間の拘束時間となり、月間(23日)に換算すると322時間となり、拘束時間の限度293時間を大幅に超えてしまうのです。

ここが残業時間だけを管理すればよいのではない、運送業の労務管理の難しいところです。

年間6回(6カ月)まで、320時間まで延長することができる

毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6カ月までは、1年間の拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、1カ月の拘束時間を320時間まで延長することができます。

先ほどの計算のように、拘束時間が14時間前後となってしまい、月間320時間前後の拘束時間になってしまったとしても、繁忙期などの時期はしょうがない。でも、そのほかの月ではしっかりと拘束時間を短くしてください、という意味がくみとれますね。

拘束時間、残業時間の管理を毎日集計しなければ危険

まとめますと、労働時間、残業時間だけを管理しておけばよいのでなく、休憩を含めた拘束時間を管理しなければならないのが運送業の労務管理の最も難しいところです。
出発時間はドライバー任せ、休憩するタイミングもドライバー任せ、といった運行は成り立たなくなってきます。ドライバーの安全を守るためにも、今後は「運行指示」をしっかりと行える企業が市場で選ばれる企業になりそうです。

次回は1月21日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
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