第16回 運送業の改善基準告示対応~(5)「重複時間」を加味した拘束時間管理~

前回は、ドライバー自身で管理が必要な「4時間連続運転の防止(430休憩)」について触れました。今回は再び運送業の事務所での管理が必要な「重複時間」を加味した拘束時間管理について解説します。

運送業の改善基準告示対応~(5)「重複時間」を加味した拘束時間管理~

前回のコラムでは、4時間連続運転の防止(430休憩)についてお話しいたしました。 今回は拘束時間管理に戻って、「重複時間」を加味した拘束時間管理についてお話ししたいと思います。

出勤当日の拘束時間が13時間、16時間に収まっていればよいのではない

運送業の労務管理といえば拘束時間管理のことを指します。一般的には休憩時間を差し引いた後の労働時間管理が基本でしたね。ほかの業界にはない管理の観点ですのでさまざまな切り口での管理手法が求められています。例えば、今回お話しする「重複時間」という観点は運送業特有のものです。この重複時間とは、前日の出勤時間より、早い出勤時間から業務を開始した場合には、その差分の時間を拘束時間に追加しなければいけないという拘束時間管理のルールです。

つまり、

  • 前日の出勤時間 → 午前5:00
  • 当日の出勤時間 → 午前3:00

となった場合、その差の2時間を拘束時間に足さなければいけません。

例えば午前3:00に出勤し、13時間後の16:00に終了したときには、拘束時間が15時間となり、2時間オーバーしていることになりますので、注意が必要です。

運送業は24時間を一つのくくりとして考えます。前日より早く出勤した場合には、早く切り上げなさいということなのです。

できる限り同じ時間に開始できる配車を心がける

重複時間が発生すると、13時間拘束時間オーバーとなる確率が高いようです。荷主の都合や道路の混雑状況など、自社でコントロールできない要因があるため、終了時間はなかなかコントロールしにくいためです。そのため配車担当がまずできることは、「できる限り同じ時間に開始できる配車を心がける」ということになります。

それができたら苦労しない、という声が聞こえてきそうですが、本当の問題は重複時間を気にせずに配車することによるドライバーへの負担が増えることなのです。なるべく出発時間を同じにしてあげようとする配慮がこのルールの根源にあります。

それを考えることが、本当の管理ですね。できる限り理想に近づけていきましょう。

次回は3月4日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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