第17回 運送業の改善基準告示対応~(6)2日平均運転時間の管理~

前回は、「重複時間」を加味した拘束時間について解説をしました。今回は、数ある運転関連のルールの中から「2日平均運転時間」の管理について触れます。

運送業の改善基準告示対応~(6)2日平均運転時間の管理~

前回のコラムでは、「重複時間」を加味した拘束時間管理についてお話ししました。運送業の本質は「荷物を運ぶこと≒車両を運転すること」ですので、運転関連のルールがたくさんあります。今回は「2日平均運転時間」の管理についてお話しいたします。

1日の運転時間は平均で9時間が限度です

限度といっても、9時間の運転は長いですね。そんなに長く運転しないのでは? と言われそうですが、そこはプロの運転手、長距離運行の場合は1日10時間を超える運行が多くなります。九州から都心、東北から都心へ運行することを想像すると、やはりその長さを運転しなければならないのです。
さて、見出しに「平均で9時間が限度です」と書きました。この平均とは、2日間の平均を指します。運送業の労務時間の管理は、1日を始業から24時間として捉えますから、運行日から48時間を対象として、平均の運転時間を算出します。具体的には、

(特定の日の前日の運転時間+特定日の運転時間) / 2日間
(特定日の運転時間+特定の日の翌日の運転時間) / 2日間

この二つの運転時間が共に9時間を超える場合は改善基準告示に違反し、そうでない場合は違反とはなりません。
告示されている定義を書きましたので少し分かりにくいかもしれませんね。

分かりやすくいうと、3日間の運転時間が必要です。

  • 1日目→9時間
  • 2日目→9時間
  • 3日目→9時間

これは分かりやすいですね。1日目と2日目の平均が9時間、2日目と3日目の平均が9時間、この二つの平均運転時間が両方、9時間を超えていないのでOKとなります。

では、この場合はどうでしょうか。

  • 1日目 →10時間
  • 2日目 →9時間
  • 3日目 →10時間

1日目と2日目の平均が9.5時間、2日目と3日目の平均が9.5時間、この二つの平均運転時間が両方、9時間を超えているので違反となります。

ではさらにこういった場合はどうでしょうか。

  • 1日目 →10時間
  • 2日目 →8時間
  • 3日目 →10時間

1日目と2日目の平均が9時間、2日目と3日目の平均が9時間、この二つの平均運転時間が両方、9時間を超えていないのでOKです。

9時間を超えたからといって全てがダメといっているわけではなく、1日の運転時間が長くなってしまったとしたら、翌日の運転時間は短くしてあげるように配慮してくださいねという意が込められています。

毎日の運転時間をどう把握するかが問題

安全面、健康面から、とても大切なルールであることは理解していただけると思います。ただ、このルールを守るためには、さまざまなハードルがあります。例えば、長距離運行をしているドライバーの運転時間を毎日把握するためには、グレードの高いデジタコを使用しなければならないため、ドライバーが運転日報を提出したタイミングでしか把握することができません(毎日点呼時などに確認する方法もありますが、少し無理が掛かりそうです)。この時点で違反となっていても、時すでに遅しということになります。しっかりと守っていくためには、デジタルを活用した仕組み化が必要になりそうです。

次回は3月18日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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