第18回 運送業の改善基準告示対応~(7)分割休息の取得~

前回は、「2日平均運転時間の管理に」ついて解説をしました。今回は、以前の「拘束時間の管理」の記事とも関連のある「分割休息」の取得について触れます。

運送業の改善基準告示対応~(7)分割休息の取得~

前回のコラムでは、2日平均運転時間の管理についてお話ししました。2日平均で9時間を超えるとプロドライバーであっても体に支障が出ます。根性論ではどうにもなりませんので重要な管理ポイントとして見ていただきたいですね。今回は「分割休息」の取得についてお話しいたします。

8時間以上の休息期間が確保できない場合は、分割休息の取得を運行計画に入れる

ドライバーの労務管理は24時間を一日として行われます。その24時間の中で8時間以上の休息期間をドライバーに与えなければいけません。「拘束時間は最大でも16時間まで」という決まりがここから来ているのは、数回前のコラムでお伝えしている内容です。「16時間(拘束時間)+8時間(休息期間)」で24時間になるからです。

しかしながら、長距離運行を行うドライバーは、連続8時間以上の休息期間を確保するのが、(どうしても)難しい場合があります。そういったときに制限付きの運用ですが、休息期間を数回に分けて取得する「分割休息」という休息の運用方法があります。

これは、1回あたり継続4時間以上、合計で10時間以上取得した場合は、休息期間として成り立つという運送業の改善基準告示のルールです。

分割休息の取得パターン

ポイントは、1回あたり4時間以上、合計で10時間以上というところです。成立するパターンと、ダメなパターンとを見てみましょう。

パターン1回目2回目3回目合計判定
(1)4時間4時間8時間×
(2)4時間6時間10時間
(3)4時間4時間2時間10時間×
(4)4時間4時間4時間12時間
(5)3時間7時間10時間×

よくあるダメなパターンは(1)の場合です。分割休息を取得する場合は、合計で10時間以上にならないといけません。合計で8時間取ればよいと思いがちなのですが、分割した場合は通常よりも多く取らないといけないということをおさえておかなければいけません。

次に多いのが、(3)(5)のパターンです。分割休息は一回あたり4時間以上でなければいけません。
(3)の場合ですと、3回目にも4時間取得して「4時間+4時間+4時間=12時間」でなければ、合計10時間を超えないため成立しないケースになります。

指示する管理サイド(事務所)がよく理解しておかなければならない

分割休息は、「連続して8時間以上の休息を取得できない場合」という現実に発生する事象への対策です。まずは管理側がよく理解していないと、ドライバーに説明することができないため、ルールをよく理解するということと、ドライバーに分かりやすい説明をするということが重要です。間違った運用では、そもそも体が休めることができませんから。

またこの運用は、限定的な運用であることも理解しておく必要があります。厚生労働省労働基準局の案内では、以下の文章が通知されています。

業務の必要上、勤務の終了後継続した8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間(原則2週間~4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間も経過直後に分割して与えることができる。

ずっと分割休息の運用を行っていてはダメで、一カ月の半分ぐらいに留めてくださいね、ということです。レギュラー運用ではなくて、あくまでイレギュラー運用であることを理解しておきましょう。

次回は4月1日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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