第51回 「振替休日」と「代休」との違い

前回のコラムは、残業代未払い訴訟で負ける運送会社の特徴についてお話をさせていただきました。一番怖いのは、正しいと思って行っていることが、間違っていると指摘されたときです。さて今回は、「振替休日」と「代休」との違いについてです。

「振替休日」と「代休」との違い

前回のコラムは、残業代未払い訴訟で負ける運送会社の特徴についてお話をさせていただきました。前回の内容を言い換えてみると、

  • 決めなければいけないことを決めていない→賃金制度が明確でない
  • 決めた内容で支払われていない→残業代同等のものが歩合給などで支払われている
  • 法律で決められている内容を正確に確認していない→社労士さんの言うことを確認せずに自己解釈している

といったような内容です。一番怖いのは、正しいと思って行っていることが、間違っていると指摘されたときです。そうならないように、本年は基本的には自社の体制について疑ってかかってみる方がいいでしょう。
さて今回は、「振替休日」と「代休」との違いについてです。

「振替休日」と「代休」、一緒じゃないの?→違います

先日、当社のアプリケーションをお使いいただいている運送会社さんから「勤怠管理表の項目に『振替休日』はあるのですが、『代休』がないのですが?」と問い合わせをいただきました。当社の勉強不足で、「『振替休日』で代用できませんか? 呼び方が違うだけだと思いますよ?」と回答したところ、「いえいえ、全然違いますよ」と言われ、事実確認も含めて調べてみたところ、厚生労働省のホームページに明確な違いが書かれていました。まずは原文から。

「休日の振り替え」とは、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、あらかじめ休日と定められた日が「労働日」となり、その代わりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払い義務も発生しません。

一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。(厚生労働省Webサイトより引用)

完成された文章ではありますが、運用に落とし込んだ文章に変換すると、

  • 振替休日(休日の振り替え)→法定休日(多くは日曜日)に出勤してもらうために、その日より前に休みを振り替える
  • 代休→法定休日(多くは日曜日)に出勤してもらい、その日より後にその代わりの日を休みとする。

確かに。出勤してもらう法定休日の代わりの休みを、その日の前の日にとるか、その日の後にとるかで明確に名称が決められているのですね。

違いは「休日労働」になるかどうか

大きな違いは、「休日労働」になるかどうかです。「振替休日」は通常労働となり、「代休」は割り増し労働になります。これは運送業の残業上限規制960時間を管理していくうえでも重要なポイントになりますから、勤怠管理にこの項目を含んでいない企業は、この機会に含めて運用していく方が得策ですね。

元となる労働基準法は、労働の全ての根幹となるルールですから、奥が深いですね。
当社でもその日のうちにアップデートして機能追加しました。

次回は8月4日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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