第50回 残業代未払い訴訟で負ける運送会社の特徴

前回のコラムでは、違法な残業代の支払い方について解説をしました。今回は、正しく残業代を支払っていたとしても、ツッコミどころ満載になってしまう運送会社の特徴について、お話しします。

残業代未払い訴訟で負ける運送会社の特徴

前回のコラムは、違法な残業代の支払い方についてお話をさせていただきました。思いの外、たくさんのご質問をいただきました。

運送業の2024年問題≒残業時間管理→残業の支払い

ともとれますので、もっとも興味を持たれるところのようです。

さて、今回は、残業代・残業手当の支払いの前に制度そのものに問題があり、制度の整備から検討しなければならない会社が多く存在するというお話です。正しく残業代を支払っていたとしても、ツッコミどころ満載になってしまう運送会社の特徴について、お伝えしたいと思います。

ルールそのものの賃金制度と違う支払いをしている

賃金規定が存在しない場合があります。たくさんの種類の手当を支払っているけど、その手当は残業代を起算する場合に、算定基礎に含むのかどうかなど不明確な場合が多くあります。

つまり一つ目のポイントは、賃金規定に記載されている内容と、実際に支払われている給与の内容とが違う場合です。

これは従業員と手当について、話をしていた場合でもツッコミどころ満載になりますし、そもそも決まっている内容と違う内容のものが支払われていることになります。これはいけません。

残業時間が正しく計算されていない

残業手当は支払われているが、時間の算出方法が不明確で、残業単価も残業時間も不明確な場合が多くあります。

前回のコラムでお伝えしたように、総支給額からさまざまな手当を差っ引いたあとに残った金額を残業代とするといったルールを採用されている会社もありますが、それは違法という判例がありますから、それはいけません。

具体的には、総労働時間と残業時間、残業手当の記載がなければいけません。

歩合給として残業手当を支払っている

これはとても多いパターンです。「残業手当は支払っているよ」という経営者の方の多くは、歩合給として払っている場合が多く、それはあくまで他手当の扱いであって、残業手当ではありません。残業手当の場合は、総労働時間と残業時間、残業手当の表記が必要になります。

社労士がOKと言っているから大丈夫だと思っている

運送業は労働基準法と合わせ、改善基準告示など、複雑な労務管理が必要になります。実際に運送業に精通している社会保険労務士さんが多いかというと、主観ではありますが、あまり多いとはいえません。本当に適法なのか、このやり方で行政への報告上、問題がないのかなど、セカンドオピニオンの意見も聞きながら適法化を進めなければいけません。

合っている(適法)と思ってやってきたことが違法と判定される、このようなことが多くなってくるのが2023年〜2025年です。関わる全ての方は運送業を取り巻く労務ルールについて学習しなければいけません。

次回は7月21日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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