第52回 トラックGメンによるサポートと罰

前回のコラムは、「振替休日」と「代休」との違いについてお話ししました。今回は、「2024年問題」の政策パッケージに記載されている「トラックGメン」について進捗(しんちょく)があったようですので、まとめてみようと思います。

トラックGメンによるサポートと罰

前回のコラムは、「振替休日」と「代休」との違いについてお話をさせていただきました。

振替休日と代休との違いは、振替休日は、それに対応する働いた日は休日労働になりますが、代休は休日労働にはならないという点です(くわしくは前回<第51回>のコラムで)。「2024年問題」は残業時間の上限規制への対応が最も大きな課題ですから、残業時間が発生する、しないの観点からも残業に関わる労務ルールはしっかりと頭に入れておかなければいけませんね。

第51回 「振替休日」と「代休」との違い

今回は、「2024年問題」の政策パッケージに記載されている「トラックGメン」について進捗があったようですので、まとめてみようと思います。

7月21日に創設。全国162人体制で稼働

国土交通省では、今までも是正措置などを運送会社に対して行ってきていましたが、「2024年問題」を前に強力な対応が必要とのことで、特殊部隊が組織されました。162人が辞令交付されているということで、かなりの本気度が見えますね。もともと配属されていた職員で併任される方82人(本省13人、地方運輸局など16人、運輸支局など53人)に合わせて、専属職員としての緊急増員が80人(本省2人、地方運輸局など19人、運輸支局など59人)あり、162人となったようです。
組織の目的は二つです。

1. トラック事業者へのプッシュ型の情報収集を開始し、情報収集力を強化

これは、この問題の(サブ)キーワードである「標準的な運賃」が適用されているかなど、トラックGメンが実際に情報収集を実施しにいくという内容です。単に安いだけで事業者チェンジが行われてしまうなど、代替サービスが多いといわれる運送業において「標準的な運賃」の適用をチェックしてくれるのは、トラック事業者にとってとても助かることだと思います。

プッシュ型で実施しないのであれば、トラック事業者は自身で申告することはないでしょうから。物流は単価の高い安いではなくて、仕組みの良し悪しで評価すべきだと思いますので、よい方向を向いてくれればよいですね。

ちなみに調査項目の代表例は、

  • 長時間の荷待ち
  • 依頼になかった付帯作業
  • 運賃・料金の不当な据え置き
  • 過積載運行の要求
  • 無理な配送依頼
  • 拘束時間超過
  • 異常気象時の運行指示

などがあるようです。

2. トラック法に基づく「働きかけ」「要請」「勧告・公表」制度の執行力を強化

(1)を実施する理由はトラック事業者が法を順守できる体制をつくるためですから、守られていない事業者への罰は当然ながら厳しくなります。そのための80人増員でもあります。言い方は悪いですが、荷主のせいにはできなくなります。自社で長時間労働を抑制する仕組みを検討し、改善基準告示などを守れる運行体制をつくること、いわゆる「運送業の働き方改革」を本気で進めなければいけないということです。

できない企業は市場から退出させられることになります。運送事業者としては、できるできないではなく、やらなければならないこととして、意識を変えなければいけませんね。

次回は8月25日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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