第8回 運送業のデジタル化策について~(5)配送計画~

今回は、よりDX色の強い「配送計画システム」について、お話ししていこうと思います。

運送業のデジタル化策について~(5)配送計画~

書類のデジタル化、動態管理などのDX策について前回までお話をしてきました。今回は、よりDX色の強い「配送計画システム」について、お話ししていこうと思います。

配送計画システムとは?

簡単にいうと、配送予定データをシステムに取り込めば、複数台の車両に自動で配送予定を割り当ててくれるシステムです。 配送計画、いわゆる配車業務は属人性が強く、かつ時間を掛けて検討する負荷の高い業務でもありますから、これをシステム化して生産性を高めようという動きが強くなってきました。
この配送計画は、運送会社の行っている業務内容によって配送計画の意味合いが若干変わります。長距離メインと地場メイン、1車両あたり1日の納品先が多い・少ないで変わります。マトリックスにして確認してみましょう。

システム化で高い効果が得られる輸送形態は?

「多い」、「少ない」の定義にもよりますが、下記のマトリックスのゾーンで高い効果が得られる可能性が高い順番は、
(2)配送距離が「短く」、納品先数が「多い」 → 宅配、特積(路線)、共同配送など
(1)配送距離が「長く」、納品先数が「多い」 → 共同配送など
(4)配送距離が「短く」、納品先数が「少ない」 →貸切輸送など
であると考えます。

配車システムを導入した際の効果予測

 1日・台あたりの納品先数が多い1日・台あたりの納品先数が少ない
配送距離が長い(1)共同配送など
【効果:高】
(3)幹線輸送など
【効果:低】
配送距離が短い(2)宅配、特積(路線)、共同配送など
【効果:高】
(4)貸切輸送
【効果:中】
  • * 筆者の主観です。

(3)の配送距離が「長く」、納品先数が「少ない」、幹線輸送に代表される輸送は、月間の拘束時間や休息期間、目標売上高を加味したものであればとても効果がありそうですが、現時点では登場していません。そのため効果を低としています。

やはり効果があるのは、納品先数が多い場合の輸送形態です。1台あたりが10カ所以上の配送を行うような場合だと、はじめにざっくりと車両ごとに納品先を割り振るだけでもかなりの時間を要します。そこに配送効率を求めていくとなると、これはベテランのノウハウを要する業務となってきますから、システム化できると非常に効果が高いでしょう。
配車計画システムを導入した場合の効果は、配車業務にかかっていた時間が3時間→30分になったという結果をよく聞きます。素晴らしいDX効果です。
共同配送のような、かつ複数社の依頼を受けて同一納品先Xnカ所に配送する場合にも同様に効果があるでしょう。つまり、納品先が多い場合の配送計画において、システム化の意味合いは、配送計画作成にかかる時間の短縮と効率的な配送ルートの計画になります。

距離と納品数だけでは合理化できない

納品先数が少ない場合の配送計画の考え方についてはどうでしょうか? 1台あたり1カ所、2カ所の納品先を割り当てるのであれば、そんなに時間はかからないでしょうし、配送順も検討する必要はありません。しかし、その納品先のルールを理解しているドライバーは誰か? その納品先のあとに必ず立ち寄ることになっている集荷先はどこか? などがルール化されているのであれば、これもシステム化することで合理化できそうです。新人配車担当でも60点~80点の配車は組める可能性が高くなります。
よって1台あたりの納品先が少ない場合、配送計画のシステム化の意味合いは、既に決まっている配車の自動組み込みになります。

ただ運送業の配車業務では、計画を阻害する要因が多くあります。納品・積込時の待機時間の発生や、道路の混雑状況、ドライバーの力量、ドライバー拘束時間の上限など、自社でコントロールできない要因が多くあります。そのため、やはり配車担当者が最終的に確認するという業務の流れは外せないということを理解しておかなければいけませんね。

次回は11月5日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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