第9回 運送業のデジタル化策について~(6)リアルタイム性をもった機器の導入~

運送業のデジタル化について、今回は「デジタコ」や「ドライブレコーダー」「ETC」といったトラック内でのデジタル化を検討していきたいと思います。

運送業のデジタル化策について~(6)リアルタイム性をもった機器の導入~

前回までは中小運送業の事務所内のデジタル化についてお話をしてきました。今回は視点をトラック内に移して、デジタル化のポイントを検討していきたいと思います。

トラック内はIT機器の宝庫

トラックの運転席をあらめて見渡してみると、多くのデジタル機器が装備されていることが分かります。「デジタコ」を始め、「ドライブレコーダー」、「ETC」、装備を充実させている企業だと、「ナビゲーションシステム」が装備されていることも多くなってきました。
おもしろい例では、ドライバーが伝票発行を行うためにプリンターをトラックの運転室内に設置している企業もあるようです。
また車体にも各種センサーが充実していて、エンジン系、ブレーキ系の機器の状態はもちろんのこと、タイヤに空気圧センサーも装着されているものもあり、パンクしているタイヤが分かる仕組みもあります。
今後、整備されていくであろうFMSスタンダードについても期待が持てそうです。

FMSスタンダードについて(国土交通省・PDF)

FMSスタンダードとは、車両データへのアクセスが可能な新しい通信規格で、ヨーロッパ圏の車両メーカーでは共通プロトコルとして使用されています。
つまり安全管理、車両管理、運行管理に必要なデータをこの規格により通信することで、例えばスマートフォンがデータをそのプロトコルから収集し、リアルタイムに分析をして結果をドライバーに伝える、といったこともできるようになりそうです。
これはトラックの運転席で独立して設置されているデジタル機器をひとまとめにして一つのシステムとして管理できるようにするなど、現在の短所を大きく改善できることに役立ちそうです。私もこのFMSスタンダードが進んでいくことに大きく期待しています。

リアルタイム性があるデジタル機器を活用する

先端機器が装備されているトラック内の運転席ですが、最先端の機器と従来の機器とではどこが違うのでしょうか。
それはリアルタイム性です。例えばデジタコを取り上げてみましょう。

最新型のデジタコは運行データがクラウドサーバー上にリアルタイムにアップロードされ、蓄積されたデータは集計データとして事務所でリアルタイムに閲覧することができます。
つまりリアルタイムに指示が出せるということです。従来のメモリーカード式のものでは、ドライバーが帰庫してからカードリーダーに差し込んでアップロードする流れになるため、当日の正確な拘束時間・労働時間、休憩取得の有無など帰庫してからでないと分からないことのほうが多くなります。
これではこれからの2024年問題に代表される残業時間対応や、改善基準告示に対応していくためには管理が難しくなってきます。

これはドライブレコーダーでも同様のことがいえます。クラウドドライブレコーダーだと、ドライバーになにか異変が起こった際にリアルタイムに確認することができますが、従来のものであるとカード内のデータを取り込んでからでないと状況が分からないためです。

2024年以降の運送業のマネジメントは分単位のマネジメントになってきます。それに対応した仕組みにするために、各種機器を管理のメッシュに合わせていかなければいけませんね。

次回は11月19日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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