第10回 運送業のデジタル化策について~(7)運転日報~

デジタル化のポイントについて、トラック内(トラック・ドライバーサイド)に視点を移していますが、今回は「運転日報」について検討していきます。

運送業のデジタル化策について~(7)運転日報~

前回からデジタル化のポイントを、事務所からトラック・ドライバーサイドに移してお話をしています。今回は運転日報について考察していこうと思います。

運転日報のデジタル化割合は半分以下?

AppLogiのアプリケーションをお使いいただいている企業の、アプリ導入前の運転日報のデジタル化割合です。実際の数値でいうと10%以下です。トラックってデジタコが装着されていて、そこから運転日報が出るはずなんだからデジタル化できているんじゃないの? と思われるでしょう。現実はそうなかなかうまくいきません。理由は2点あります。

  1. デジタコ装着義務のない4トン車格未満の車両も多くある
  2. デジタコから出力される運転日報データを諸々の理由でそのまま利用できない

1.の理由については想像がつきますね。この場合は4トン以上の車両はデジタコから出力される運転日報を活用しますが、4トン未満については概ね手書きで運転日報を作成している会社が多いようです。

2.については文章に現れていますが、非常に悩ましい理由です。

  • デジタコ操作の間違いが多く、正確な日報内容になっていないため使えない
  • デジタコのデータでは休憩未取得や出庫・帰庫時間が明確に出てしまうため、手書きで……作成する(いけないことです)

など、修正を前提とした運用になっている場合、手書き日報が使用されているようです。
教育と会社のスタンスの問題ではありますが、なかなか悩ましい状況です。

運転日報のデータ化は必須中の必須

運送業のデータとは、運転日報のデータのことです。
長時間運転の問題も待機時間の問題も、また残業時間の問題も、全て運転日報の中にデータとして存在します。これが手書き日報になった時点で全ての情報は取得できなくなってしまいます。2024年問題に代表される残業時間管理や、総拘束時間管理、改善基準告示の管理をはじめ、運送業はこれから管理しなければならない項目がどんどん増えてきます。そこにデータがないということは、ほぼ八方塞がりの状態になってしまいます。業務効率を上げることもままならないでしょうし、労働訴訟に対応するためのエビデンスも準備できません。改善基準告示を管理するのはさらに大変です。

なにはともあれ、できることならすぐに手書き日報をやめる、もしくはデータ化を進める施策を出したほうがよいでしょう。
デジタコに正確に入力する、スマートフォンアプリなどを活用して日報を作成する、手書き日報の内容をExcel等に入力しておく、どれかを選択したほうが良いと思われます。
時間管理の問題点の解消は、まず記録を是正してから始める必要がありますから。

アメリカでは一部のドライバーは手書き日報が「禁止」に

実際、アメリカでは一部のドライバーは手書き日報が「禁止」されています。日本同様にドライバーの業務時間の記録は「紙」で行われていたのですが、管理が徹底されておらず労働時間申請の不正が発覚し、「安全な運転に必要な休養や休憩が取れていない」と指摘されるようになりました。そこで、2018年4月から「州を跨(また)ぐトラック」を対象に、電子運行記録装置(ELD:Electronic Logging Device)が義務付けられています。これによって、エンジンの稼働時間や運転時間をデジタルで記録され、ドライバーの労働時間をごまかすことができなくなりました。

義務化後にはトラックの運賃が上昇

アメリカも日本同様にドライバーの拘束時間が決められていて、1日最大で14時間です(ちなみに日本の拘束時間は1日最大で16時間)。労働時間が正確に記録されたことで、労働に対する対価の交渉をする事業者が増加し運賃が上昇したそうです。
また、運賃上昇と好景気に後押しされ「儲かる業種」と認識されるようになり、運送業への参入が増加したともいわれています。

記録を正確に付け、それをしっかりと検証することにより、大きな流れが是正されるという事例が諸外国にもあるわけです。
我が国でも同じ流れになればよいなと思います。

次回は12月3日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
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