第6回 運送業のデジタル化策について~(3)納品先カルテ~

デジタル化は「保管効率」「編集効率」「検索効率」といったメリットがあり、やらない理由はありません。今回は「納品先カルテ」のデジタル化について考えてみたいと思います。

運送業のデジタル化策~(3)納品先カルテ~

前回、前々回のコラムでは、「デジタル運転者台帳」・「デジタル車両台帳」について事例を踏まえてお話しさせていただきました。繰り返しになりますが、デジタル化(DX化ではありません)をすることによるメリットは、(1)書類(データ)の「保管効率」が上がり、(2)1箇所を変更すると全てが変更される「編集効率」も上がり、 (3)必要な情報にアクセスしやすくなる「検索効率」が上がることになります。やらない理由はないですね。
今回は続いて「納品先カルテ」のデジタル化について考えてみたいと思います。

納品先カルテは運送会社の品質を保つ重要書類

納品先カルテは、納品先ごとに、納品先への道順、納品可能時間帯や納品時のルールなどをまとめたもので、その納品先の要望に対応できるための自社のノウハウが凝縮されたものだと考えてもらえばよいと思います。私の経験則からではありますが30%~40%の運送会社で作成されているのではないでしょうか。
イメージはこのようなものです。

この例は、事務所の従業員がExcel・Wordなどで作成した後、プリントアウトし、その後でよく行くドライバーさんが地図を書き込んでくれたもので、なかなかの大作です。

ここに記載されている項目は下記のようになっています。

  1. 納品先名
  2. 納品先の担当者名
  3. 納品不可の車格
  4. 必要装備(ラッシングベルトや角あてやコンパネなど)
  5. 導入路
  6. 納品場所地図
  7. 納品時の注意事項

他にも必要な項目は個社ごとにあるとは思いますが、必要かどうかの判断軸は、初めて納品に行くドライバーがその納品先カルテの内容を見て納品ができるか、つまり引き継ぎができるかということです。
その観点からいうと、このサンプルの納品先カルテはなかなかよくできています。
しかし、手で作成しているがゆえの問題もあります。

すぐに変更できない資料は更新頻度が低下

納品先の住所が変わったなどの大きな変更であればすぐに変更がされることが多いですが、細かい変更、例えば納品時の積み降ろしのルールが変更になった、担当者が変わったなどの少し細かいことに関しては、

  • ドライバーが聞いていたけど、配車担当に伝えるのを忘れていた
  • ドライバーから配車担当には変更内容を伝えていたが、納品先カルテを変更するのを忘れていた(面倒なのでまとめて変更しようとしてやっていなかったというのが多いようですね)
  • 変更はしていたが印刷するのを忘れていた

などの理由でカルテの内容は最新版でないことがよくあり、ドライバーも「本当にこれで正しいのか?」と感じてしまうことから、よく行くドライバーに聞いたほうが早いということになります。
そのような状況で最悪な事態は、いつも行っているドライバーが急に辞めてしまったときです。 急きょ行くことになったドライバーは納品方法がよく分からず、時間もロスし、クレームも発生してしまうといった納品品質が低下。これはよくあることのようです。
よくよく考えると、納品したドライバーがルールに変更があるごとに、すぐに納品先カルテを編集していればそのようなことにはならないのですが、手で書類を作るには、事務所が介入しなければなかなか難しいですね。

デジタル化で更新頻度を上げる

前述の「ドライバーが納品したルールに変更があるごとに、すぐに納品先カルテを編集する」ということを実現するためには、編集しやすい状態になっていることが必要です。これは市販のクラウドドキュメントのアプリケーションを使用するとよいでしょう。

これを使うことで、ドライバーはスマートフォンなどを使って、見たい納品先カルテにアクセスできるようになります。ドライバーとしても納品の直前にあらためて納品方法などを確認するときなどにとても便利ですね。よく行くドライバーに「入口を聞いたけど、近くまで来たらよく分からなくなった」というときにも使えそうです。納品ルールが少し変更になったときにも、メモを残しておくことができます。
サンプルを掲載しておきます。

このサンプルの場合は、

  • 入口・駐車位置を分けて地図に掲載
  • 写真とその写真の説明とを簡単に記載
  • 納品ルール・注意事項を投稿型で記載
  • 事故・クレームも同様に
  • 伝達事項は掲示板に投稿

といった内容を掲載しています。
またスマートフォンで見やすくしているのがポイントです。これで編集効率・検索効率が高まりますから、とてもよい納品先カルテが運用できそうですね。
PDFで作成された納品先カルテをスマートフォンで見られるよう加工しているパターンもありますが、これは先ほどの編集効率の観点から、いつも最新版にすることが難しいので課題が残ります。
あとはドライバーさんが積極的にカルテの更新を行ってくれるか、ということが課題になりますが、対策としてカルテへの投稿数を評価項目にされている運送会社さんもあります。ここは知恵の出しどころです。
なにはともあれ、情報共有をするにあたっては何でもできるすごい時代ですね。

次回もデジタル化の内容が続きます。

次回は10月8日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
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