第55回 ドライバーへの法律指導の意義

前回のコラムでは、運送業が法定休日労働の運用をする際の正しい使い方についてお話ししました。多く働ける方法を考えるより、短い時間で生産性の高い業務を行えるようにすることがこの法整備の本質だと思います。さて今回は、ドライバーへの法律指導についてお話ししたいと思います。

ドライバーへの法律指導の意義

前回のコラムでは、運送業が法定休日労働の運用をする際の正しい使い方についてお話ししました。法定休日出勤(おおむね日曜出勤の場合が多い)には所定労働時間の設定がないため、時間外労働の概念もありません。そのため、法定休日出勤をすると残業が発生しないことになります。

だからうまく法定休日出勤を使っていこうという話が出ることが多いのですが、しかしながら、これでは問題の解決にはなりませんね。多く働ける方法を考えるより、短い時間で生産性の高い業務を行えるようにすることがこの法整備の本質だと思いますので、「荷主」「会社」「ドライバー」が共通意識を持って取り組んでいくというのが方向性として正しいと思います。

さて今回は、ドライバーへの法律指導についてお話しさせていただきたいと思います。

時間外労働制限、改善基準告示、ドライバーが理解していなければ守れない

ドライバーの時間外労働の管理、改善基準告示の順守について、ご相談を多くいただいています。
ご相談にも段階があり、

  • ちゃんと残業時間を管理したいが、そもそも管理の方法が分からない
  • 改善基準告示の管理が厳しくなると聞いたが、それは何?

という初期段階のご相談からはじまり、体制ができ上がってきた運送会社からは、管理のレベルを上げるための本質的かつ具体的な質問をいただくこともあります。
その内容は、

  • 法定休日出勤や所定労働時間の変更などを行って残業時間を年間960時間以内に抑えようと思っているのだが、良い方法はないか
  • 8時間以上の休息期間を確保するために、どのような運行管理をすべきか
  • 分割休息をうまく活用して休息期間を確保するには、どのようなパターンがあるか

などです。

真剣に法律に対応していこうと考えられていますので、テクニカルな内容が多くなっています。すごくちゃんとしたい気持ちが表れています。しかし、各社「社内ルールなどの整備はとても進んでいるのだが、どうしてもドライバーが守れない」という悩みをお持ちの会社が多いように感じます。

うまく法対応ができている運送会社の特徴

社内の全ドライバーが法律で規定されている時間や、改善基準告示を守れているという運送会社は多くありませんが、ほとんどのドライバーが守れている会社には特徴があります。それはドライバー自身が毎日何時間まで働くことができる、何時間まで走ることができる、といった法律を知っていることです。どこで当日の運転日報を切らないと違法になるということを前線のドライバーが知っているか、知らないか、これは大きな違いになります。

例えば、分割休息を取得する際に、4時間以上でないと分割休息と認められないことや、本日の出勤時間より翌日の出勤時間が早くなってしまったら重複時間として拘束時間に加算される、ということを知っているかどうかで、運行内容への対応の仕方が変わります。こういったことをドライバーが知らないことが多いように感じます(当社アプリ利用状況より)。

まとめると事務所は理解しているけど、ドライバーが理解していない(伝えられていない)運送会社がとても多く、せっかく社内ルールは整備されているのにもったいないと感じることがあります。

「いつも言っているんだけどな」は伝わっていない場合が多く、情報は伝わったものが相手の情報として捉えられますので、ここは伝わるまで言い続けないといけませんね。

次回は10月6日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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