第54回 法定休日出勤時には時間外労働は発生しない

前回のコラムは、「業務のDX化にローコードツールはハマるか」という話題でした。今回はまた話は戻り、運送業の2024年問題への対策について、法定休日労働の運用および正しい使い方について考察していきます。

法定休日出勤時には時間外労働は発生しない

前回のコラムは、「業務のDX化にローコードツールはハマるか」というお題でお話をさせていただきました。結論としてはうまくハマりそうですね! その条件として、

  • 業務全体が見渡せる人が業務を再設計する
  • スピード重視で制作する

ということが大切だと思います。
ある程度、業務を再設計できる人が音頭を取らないと、結局はExcelなど、スプレッドシートで作っているのと変わらない、という状態は避けなければいけませんから。

会社規模が大きくなったときには、安定化したシステムに置き換えることになる場合が多いと思いますが、それまでの学習要素という意味でもとても役立つと思っております。
今回はまた話は戻り、運送業の2024年問題への対策について、法定休日労働の運用および正しい使い方について考察していきたいと思います。

法定休日出勤時には時間外労働は発生しない

運送業の2024年問題の代表的な課題である、「年間の時間外労働時間の上限規制960時間」への対応策として、「法定休日労働」をうまく活用していこうと考えている企業が多くあります。法定休日出勤、つまり一週に一回の休日(おおむね日曜日のこと)に出勤した場合、この日に発生した残業時間は時間外労働としてカウントされないためです。

念のため、法律を調べてみました。
厚生労働省・労働基準局監督課のホームページに掲載されている「労働基準行政全般に関するQ&A」の記事に下記のように記載されています。

法定休日には法定労働時間というものが存在しませんので、休日労働をさせた場合は時間外労働に対する割増賃金は発生しません。よって、休日労働に対する割増賃金と時間外労働に対する割増賃金は重複しません。

要は、法定休日出勤時に残業は発生しないと言っていますが、結局は35%以上の割増賃金は支払わないといけませんので、人件費は大変なことになります。

ちなみにこれは法定休日に出勤した場合の話で、土曜日などに休日をもう一日設定している場合、いわゆる所定休日に出勤した場合は、全て残業時間となります。週40時間労働時間を超過することになるため、このあたりの知識を整理しておかないと労務管理は危険ですね。

結局はしっかり休める方が良い

2024年問題対策を考えるとき、どうしてもより多く働ける(残業できる)方法を考えてしまいます。
しかしながら、なぜこのような法整備が必要とされ、かつ5年間も猶予があったのかということから考えると、業界が長時間労働になりがちで安全が確保されておらず、平均と比べて低賃金であることが問題視されたからです。

それを解消するためには、車両の運行について荷主に理解を得て、運賃についても交渉を聞き入れてもらえる方向に向いていくべきだと思います。そうすることでドライバーが「止まれる時間」を確保でき、適法環境をつくれると考えます。行政もその方向へシフトしていっていますね。物流に関わる人全てがこの問題に対して理解する、それが一番大切です。

次回は9月22日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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