第36回 運送業の労務管理のデジタル化~(2)実はかなり重要な休憩時間の記録ルール

前回は、運送業の労務管理のデジタル化についての第1回として、運送業の労務管理の必須ルールから「『出勤時間』と『退勤時間』とを明確にする」ことをお話ししました。今回は、「休憩時間の記録ルール」について検討します。

運送業の労務管理のデジタル化~(2)実はかなり重要な休憩時間の記録ルール

前回のコラムから、新テーマとして運送業の労務管理のデジタル化についてお伝えしています。 第1回目は運送業の労務管理の必須ルールとして、「『出勤時間』と『退勤時間』とを明確にする」ことをご説明しました。「運送業の2024年問題」は労働時間が主として問題視されています。
労働時間は「(退勤時間-出勤時間)-休憩時間」を基本ルールとして計算されますが、そもそもその時間が明確になっていない会社がとても多いことにびっくりします。
まずはここから始めましょうとお伝えした理由がご理解いただけると思います。

今回のコラムは、「休憩時間の記録ルール」についてお伝えします。

休憩時間記録の基本ルール

当社では運送業向けの労務管理アプリケーション開発に力を入れていることもあり、社会保険労務士(以下、社労士)と情報交換を行う機会がとても多くあります。会話の中でよく出るテーマとして休憩時間の管理方法があり、共通して社労士の皆さんが言われる駄目な管理パターンと、これから運送業が行っていかなければならない管理パターンとについて整理したいと思います。

よくある駄目なパターンは、ご存じの方であれば容易に想像がつくと思います。自動的に1時間の休憩時間を引くという方法です。ドライバーがデジタコの休憩ボタンを押さない、何回言っても休憩を取らないなどの場合に、事務員が休憩時間を1時間に修正することがあります。これは事務的には楽で、「休憩を取らない方が悪い」とか、「機械を押さない方が悪い」などの議論にならないため、その点のみはよいかもしれませんが、「休憩していないのに休憩したことにする」ということは根本的に間違っているのはご理解いただけると思います。
未払い残業問題の際に争点になることがありますので、ドライバーからの休憩した時間の宣言(報告)を基に休憩時間を管理していただいた方がよいでしょう。

これから運送業が行っていかなければならない休憩管理のポイント

社会保険労務士や関係省庁・団体のお話から、当社が整理したこれから運送業が行っていかなければならない休憩管理のポイントは四つです。

  1. 休憩を取得した時間帯<開始(分)~終了(分)>
  2. 休憩した場所(位置情報)
  3. 休憩取得回数(取得ごとに時間管理)
  4. 1回あたり10分以上

このポイントを抑えられる仕組みづくり、デジタル化・IT化を進めていかなければいけません。特に3の「休憩取得回数」については、合計時間だけ記載しないようにという意味が込められています。また4の「1回あたり10分以上」については、あとで運行履歴を見て、「ここで止まっていたから休憩だ」という判断を運行管理者とし、休憩に変えるということがあるとお聞きしています。もしそのような場合でも1回あたり10分未満の休憩では認められません。

デジタコやスマホアプリなどを活用する

1~4について、1ドライバー1運行あたり運行管理者が確認していくことは、かなり困難なことです。そのため、やはり自己申告制度を採用する必要があるでしょう。分単位で運行内容を管理していくにはやはりITの力が必要です。デジタコが搭載されている企業は「休憩ボタン」を必ず押させる取り組み、ない場合はスマホなどを使って動態管理、運転日報発行ができる運行管理アプリケーションを利用するなどをして、細かいマネジメントが自動で行えるような仕組みの導入が必要ですね。

次回は12月23日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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