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第81回 運送会社の安全教育DX(3) 自社で研修動画を作成する
前回のコラムでは、運送業法定12項目研修を「eラーニング」で実施する方法についてお話をしました。eラーニングを実施するには、自社でつくった研修動画をドライバーに見てもらうといった方法があります。今回のコラムでは「自社で動画をつくる方法」についてお話を進めていきたいと思います。
運送会社の安全教育DX(3) 自社で研修動画を作成する
前回のコラムでは、運送業法定12項目研修を「eラーニング」で実施する方法についてお話をしました。「eラーニング」は、時間が確保しにくい、集合研修が行いづらいといった業種にはとても有効です。運送業のドライバーはそれに限りなくあてはまりますから、eラーニングの実施はとても有効ですね。
eラーニングを実施するには、インターネットなどで提供されているサービスを利用するという方法と、自社でつくった研修動画をドライバーに見てもらう、配信するといった方法があります。今回のコラムでは後者の「自社で動画をつくる方法」についてお話を進めていきたいと思います。
研修動画の基となる資料を選定する
まず研修動画をつくる必要があります。基になる材料としては、トラック協会に加盟されている運送事業者は、全国トラック協会をはじめとした業界団体の資料を基に研修動画を作成するのがよいでしょう。ドライバーに伝えなければならない内容、理解しておかなければならない内容が、もれなくダブりなく記載されているため、とても有用な資料だと思います。
それを基に自社の考えとしてドライバーに伝えたい内容をプラスするのがよいでしょう。ただし、ここはプラスすることが必要です。基の資料には必要な項目が全てつまっていますから、基の内容を削って自社のものを入れるというのは避けた方がよいでしょう。
ドライバー向けの研修動画をつくる
動画といっても、キャラクターや文字が動いていたりする必要はありません。伝えたい内容が記載されている資料が時間と共に、自動的に切り替わっていけばよいと考えてください。
まずすべきことは、「Microsoft PowerPoint」やApple社の「Keynote」などのスライド作成ソフトを使って、10枚ほどの資料を作成することです。それを動画作成ソフトを使って順番に1枚ずつ埋め込んでいくとよいでしょう。動画作成ソフトはWindowsを使っているのであれば、「Microsoft Clipchamp」、Macであれば「iMovie」で作成することができます。音声は時間があれば吹き込んでもよいですし、音声読み上げソフトを使ってみるのも便利です。ここまで説明したソフトウェアは無料で使える場合が多く、試してみるとよいでしょう。
ドライバー安全研修は12項目に分けて説明する必要がありますから、もっとも少なくて12個の動画、一つの動画の時間が長いと見る方は集中力が持たないことも考慮して、一つの動画項目を五~六つに分解してつくるとよいでしょう。
動画配信サイトを利用する
動画が出来上がったら、自社でYouTubeチャンネルなどをつくって、そこに出来上がった研修動画をどんどんアップしていくようにしましょう。自社のホームページにアップしておくという方法を採られている企業もありますが、既に使ったことがあるアプリの方が取っつきやすいためYouTubeの方がよいかもしれませんね。
理解度チェックができる仕組みをつくる
最後に動画を見た後に、しっかりと理解できているかを確認する必要があります。これを自前でシステムとして作成するにはハードルが高いです。そのため、ここだけは手で記入する形の簡単な設問を2~3作成し、記入してもらうのがよいと考えています。感想も一緒に記入してもらうのもよいですね。
まとめ
自社で研修動画を作成し、運用している会社の事例を踏まえてご説明しました。全てをデジタルでやるのは難しいですが、簡単な資料さえ作成できれば、あとはデジタル化できるツールは多くあります。まずは1項目の資料作成から始めてみるとよいですね。
次回は12月6日(金)更新予定です。