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第82回 運送会社の安全教育DX(4) スマートフォンアプリでのドライバー研修受講
前回のコラムでは、運送業法定12項目研修の「eラーニング」用資料を自社で作成する方法についてお話をしました。今回は実際のドライバーが受講する状況を想定して、スマートフォンアプリでの研修受講についてお話ししようと思います。
運送会社の安全教育DX(4) スマートフォンアプリでのドライバー研修受講
前回のコラムでは、運送業法定12項目研修の「eラーニング」用資料を自社で作成する方法についてお話をしました。こういった資料は必ずしも自社で作成する必要はありませんが、自社独自のルールを伝えるためには、自社内で作成すると良い資料になります。各地域のトラック協会や業界団体が出されている資料をベースに自社のテイストを加味して作るのが良いですね。
今回は実際のドライバーが受講する状況を想定して、スマートフォンアプリでの研修受講についてお話ししようと思います。
スマートフォンアプリでの研修受講
現代のドライバーの多くはスマートフォンを日常的に活用しています。ドライバーはなんらかの形でスマートフォンを持っていることが多いようです。運送会社によっては、携帯電話手当を支給するより、会社からスマートフォンを貸与する方が割安になる場合もあるため、スマートフォンの貸与が多くなってきています。ですからスマートフォンで研修を受講するというのは、思っているよりハードルが低くなっています。
スマートフォンで研修を受講することのメリット
1. いつでもどこでも学べる
ドライバーが停車中や運行前後の空き時間を活用して受講できます。長時間の拘束を避けることで、業務への影響を最小限に抑えられます。
2. ゲーミフィケーションで学習意欲を向上
研修内容にポイント制度やバッジ機能を導入し、ドライバーが楽しみながら学べる環境が提供できます。例えば、あるカテゴリーの研修を全て実施し、テストもクリアできたときに「危険予知マスター」「健康管理プロフェッショナル」などの称号を与える仕組みをつくることも考えられます。これはたくさん称号ができそうですね。
3. 配信・受講管理
LMS(学習管理システム)といった、市販のシステムをうまく使えれば配信・受講管理を効率化でき、管理者が法定研修の履行状況を簡単に確認できるようになります。また、研修の一斉配信が可能になり、個別の進捗(しんちょく)状況をリアルタイムで把握できるようになるためとても効率的になります。
4. マルチメディア対応
テキストだけでなく、動画、音声、アニメーションなど多様な形式で情報を提供できるため、理解しやすい内容を実現できます。
まとめ
運送会社が安全教育DXを進めることは、業界全体、会社全体の成長に直結します。ドライバーのスキル向上や事故削減につながるだけでなく、会社の競争力を高めるための強力な武器となります。次世代型の研修体制を構築し、持続可能で安全な運送業へシフトしていくことは今後とても重要なことになりそうです。
次回は12月20日(金)更新予定です。