第109回 うまくいかない運送業のDX(1) システムを入れたのに、現場が変わらない理由

前回のコラムでは、ドライバー評価制度の運用定着に向けた設計と工夫を紹介しました。今回は、DXを進めたはずなのに業務の実態が改善しないという問題を取り上げます。システム上は統一されているが実務がバラバラという状況について、情報分断の実態とその背景をお話ししていきます。

うまくいかない運送業のDX(1) システムを入れたのに、現場が変わらない理由

前回のコラムでは、ドライバー評価制度の運用定着に向けた設計と工夫を紹介しました。
今回はテーマを変え、DXを進めたはずなのに業務の実態が改善しないという問題を取り上げます。特に複数営業所を持つ運送会社で頻発しているのが、本社と現場との記録精度が全く違う、システム上は統一されているが実務がバラバラという状況です。これについて、情報分断の実態とその背景をお話ししていきます。

DXは入力者の質に依存するという落とし穴

多くの会社がクラウド勤怠、点呼アプリ、配車システムなどを導入していますが、

  • 本社はきれいな画面で管理しているつもり
  • 現場では使われず、Excelの転記や紙の記録が温存されている

という状態が残っていることが多いようです。

  • 勤怠:本社のシステムに登録されている時間と、実際の点呼時刻とがズレている
  • 点呼:ある営業所は点呼アプリを使い、別の営業所は未導入のまま
  • 配車:システムには登録されているが、ドライバーは紙の指示書で動いている

これらは全てツールの有無の問題ではなく、運用ルール、入力者、責任分担の設計が曖昧なままDXを進めた結果です。

情報が分断される三つの構造要因

原因具体例
1. 現場主導でのバラバラ運用営業所ごとに独自フォーマット、紙文化が残る(所長の裁量で管理が変わる)
2. 入力責任が不明確誰が点呼記録を登録するか、誰が勤怠を修正するかが決まっていない
3. 情報の時間差システム反映にタイムラグがあり、リアルタイムで使えない、信用されない

これにより、本社が見ている情報と現場の運用実態が違う状態が慢性化し、監査や行政対応の際に実態不一致として問題化するケースが増えています。

本社視点の画面上の正しさと、現場視点の実際のやり方とが乖離(かいり)している

本社現場
勤怠管理はクラウドで一元管理しているでも実際は紙の勤務表を先に書いて、後でまとめて入力している
点呼はアプリで行っているアルコール検知器の結果を全て紙に記入している

このように、形式上は問題ないが証拠として機能しない運用が発生しているのです。これではDXの恩恵を受けられません。しっかりとシステムを使いはじめたときの想定に近づけなければいけません。
次回も「うまくいかない運送業のDX」の事例について取り上げていきたいと思います。

次回は2月6日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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