第43回 運送業の労務管理のデジタル化~(8)運行指示書の重要性

前回のコラムでは、「月間勤務予定表」の作成についてお話ししました。長距離運行の労務管理は、他業界の労務管理と比べてもとても難しい内容です。今回は、この月間勤務予定の1日レベルに落とし込んだ業務指示「運行指示書」についてお話しします。

運送業の労務管理のデジタル化~(8)運行指示書の重要性

前回のコラムでは、「月間勤務予定表」の作成についてお話しをさせていただきました。運送業、特に長距離運行が多い会社の労務管理がうまく行かない理由の一つとして、月間の予定が決めにくいことがあります。2泊3日で出発した運行が、運行途中で3泊4日へ変更になり、休みが減ってしまった。もしくはその逆で帰り荷が確保できなかったため、運行が短縮されたという場合もあります。変更が前提になっているため、成り行き管理になっているケースが多く、月間の勤務予定などの予定も立てない管理になりがちです。長距離運行の労務管理は、他業界の労務管理と比べてもとても難しい内容です。だからこそ計画→実施→検証を行えるようにするためにも、まずは月間勤務予定を作成するところから始めていただきたいと思います。

今回は、この月間勤務予定の1日レベルに落とし込んだ業務指示、具体的には「運行指示書」についてお話しさせていただきます。

長距離運行において「運行指示書」の作成は必須

運行指示書の作成は、

一般貨物自動車運送事業者等は、第七条第三項に規定する乗務を含む運行ごとに、次の各号に掲げる事項を記載した運行指示書を作成し、これにより事業用自動車の運転者に対し適切な指示を行い、及びこれを当該運転者に携行させなければならない
(貨物自動車運送事業法の規定に基づいた、貨物自動車運送事業輸送安全規則)

と法的に決まっています。

要は、1日の間に1回も対面で点呼できない運行を指示する場合、つまり2泊3日以上の運行の場合には、「『運行指示書』を作成してドライバーに指示しなさい」ということです。

全国トラック協会が提示する運行指示書の書式は、下記のような書面になっています。これに「運行経路・経由地」「休憩地」「交代地点」など(かなり略しています)を記入して、ドライバーに渡して内容を説明することがルールになります。

  • * 出典:全国トラック協会「運行管理業務と安全」マニュアルより

月間の勤務予定を作成して月間の拘束時間計画を立てたとしても、1日の運行がドライバー任せになっていたら予定どおりにはなりません。1日の具体的な指示として、運行指示書を作成してドライバーに指示することはとても重要なことです。要は「この時間に、ここで、何分休憩してね」と伝えることができていれば、4時間連続運転エラーも、拘束時間エラーや休息期間エラーになる可能性はぐっと減ります。

これを簡単かつ正確に作ってドライバーに指示することができるようになれば、運送業の労務管理レベルはより上がっていくと思います。

運行指示書作成アプリ

運送業の業務指示の方法は各社の独自性が強く、特にドライバーへ指示する方法については、各社の独自性がより強く出る傾向があります。そのため、「このアプリケーションを使えば、効率的に運行指示書の作成から指示までできる!」というアプリやシステムは、現時点では世の中に出てきていないようです(主観です)。

ただ、この「運行指示」は最重要業務に位置すると考えます。出てきた時にはすぐに試してみる価値があると思います。それまではアナログであっても、ぜひ詳細なものを作成して活用していただくと、管理レベルはかなりレベルアップすると思います。

次回は4月7日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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