第42回 運送業の労務管理のデジタル化~(7)月間勤務予定表の作成

前回のコラムでは、「出勤時間の指示」についてお話ししました。労務管理を行うためには出勤時間の始まりと終わりの時間を明確にしなければいけませんが、ドライバー任せという企業もまだ多いようです。今回は、「月間勤務予定表」についてお話しします。

運送業の労務管理のデジタル化~(7)月間勤務予定表の作成

前回のコラムでは、「出勤時間の指示」についてお話をさせていただきました。労務管理を行うためには始まりと終わりの時間を明確にしなければいけませんが、運送業では出勤・退勤、出庫・帰庫、開始・終了時のアルコールチェック、車輌(しゃりょう)点検の実施タイミングなど、各社によって始まりと終わりの時間のタイミングが違い、明確に決まっていない企業も多いようです。ルールを決めることが一番の仕組み化ではあるものの、ドライバーとの誤解がないようにするために、まずは出勤時間を明確に指示するということが最もよさそうです。ぜひやってみてください。

今回は、出勤、休日を管理するための「月間勤務予定表」についてお話しします。

運送業では意外と作成されていない月間勤務予定表

ここでいう月間勤務予定表とは、

  • ○月△日(月)は【出勤】
  • ○月□日(火)は【休日】

と、予定を記入するシフト表のようなものを指しています。これを作成することで、社員ごとの今月の出勤日は何日で、休日は何日確保できていて、有給休暇を何日取得する、という勤怠状況が管理できます。

とても便利な管理ツールであるにもかかわらず、運送業ではあまり導入されていません(倉庫業には大抵ある)。 理由は定かではないですが、長距離運行が多い運送会社は、3泊4日の予定で運行を開始したけども、途中で予定が変更になり5泊6日になってしまい、休みが取れなくなったということや、そもそも予定が立てられないことを理由に作っていないという企業が多いようです。

しかし、先に予定を作っていて、あとで出勤に変更になったということであれば、それはそれで管理はできていて、仕組みとしては良いのではないかと思います。予定自体を立てていなければ、成り行き管理と思われてもしようがありません。そうならないためにも、月間勤務予定表を拠点ごとに作成することをおすすめしています。

これを作ることで、月間の拘束時間・残業時間管理をはじめ、働き方改革法にある有給休暇5日の取得も現実的に考慮することもできます。

逆に成り行き管理になると、週に1日の休日も取得できないような状態になり、月間拘束時間を計画的にコントロールすることはできなくなります。ひどい場合には月の中盤で残業80時間超、休日出勤2回といったドライバーも出現してきます。これでは管理ができているとはいえませんね。

まずは社員全員の月初~月末までの出勤予定カレンダーをつくる

「本来であれば月間勤務予定表はこのようにつくる」という基本のものはあるのですが、まずは【出勤】【休日】【有給】を記載できるようにしましょう。

休日を決めることによって、日付の区切りができ上がります。ドライバーの拘束時間が長い会社の傾向として、何月何日は休日という明確な指示がない場合が多く、長距離運行から帰ってきたら次の日は休み、というような指示になっているケースが多いようです。だからまずは休日を決める、これが重要です。前述したように、その予定を変更するのは管理としては適切ですから、まずは決めることが大事です。

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それができたら次は、【出勤】を【所定休日出勤】【法定休日出勤】に、【休日】を【所定休日】【法定休日】に分けて記載していきましょう。法定休日は法律で決まっている1週に1回の休み、所定休日は会社が定めた休日です。 これを管理していくことによって、働き方改革法の実施、つまり2024年問題にも対処しやすくなります。

今からできることのうち、重要度も緊急度も高い管理内容ですので、ぜひやってみてください。

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次回は3月24日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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