第41回 運送業の労務管理のデジタル化~(6)出勤時間の指示

前回のコラムでは、運送会社に特化した勤務状況表についてお話ししました。運送業専門の勤怠管理ソフトはまだ多くは出回っていないため、システムをカスタマイズする必要があるというお話でした。今回は、「出勤時間の指示」についてお話しします。

運送業の労務管理のデジタル化~(6)出勤時間の指示

前回のコラムでは、運送会社に特化した勤務状況表についてお話をさせていただきました。運送業の勤怠管理方法は力点が他業界よりも多くあり、一般で販売されているアプリケーションの勤怠管理表の項目だけではうまく管理できないため、独自項目を追加する必要があるというお話でした。計算方法や必要となるデータが複雑で、運送業専門の勤怠管理ソフトはまだ多くは出回っていません。自社内でまず運用に耐えるものを作ってみるのがよいかもしれませんね。前回の項目をぜひ参考にしてみてください。

今回は、意外に行われていない「出勤時間の指示」についてお話しします。

出勤時間を指示しないと拘束時間は長くなる

ドライバーは指定時間に遅れたくはないものです。渋滞や事故などのトラブルや、積荷に問題が発生するなどのリスクに対応するため、できるだけ早く目的地に着いて対処できるようにしておきたいと考えます。長距離運行の場合であれば、特にそのような傾向が強くなります。工場や物流センターで積込時に待機時間が発生する要因はこれもあります。

しかし、運行指示をする場合には、積込時間や荷降ろし時間しか伝えていないことが多く、出発する時間はドライバーに任せられている会社は多くあります。実際にはベテランドライバーと運行の経験があまりないドライバーとでは出発時間に1~1時間半ほどの差が発生することがあります。不安ですものね。

ですから、出発時間から経由地、積込時間などを運行指示書でドライバーに指示をしなければならないのですが、この運行指示書の運用もうまくいっていないことも相まって、出勤時間を指示していない会社が多くなっているようです。結果として想定より早く出勤するため、全体の拘束時間が延びるということになっています。

配車表への記入と、運行データ送信時にも出勤時間を指示する

早く出発して、休憩するから大丈夫という理解が多くされていますが、拘束時間から休憩時間を引いた「労働時間」はそれでよくても、拘束時間が長くなり、改善基準告示の13時間を超えてしまうケースが増えます。

問題はここなのです。2024年問題といわれる運送業の労働問題は、労働時間だけがフォーカスされる傾向があるため、本来の運送業の基準ルールである改善基準告示が忘れられがちです。計画検討の順は「拘束時間」→「労働時間」であるべきですので、ここはしっかりと抑えておきたいところです。よって拘束時間を枠内に収めるためにはまずは出勤時間の指示からということになります。
押さえることは二つです。

  1. ドライバーに出勤時間を伝える
  2. 配車表に出勤時間を記載する(SNSやアプリケーションで運行指示・連絡をしている場合は、そこでも出勤時間を記載する)

ということです。
この運用だけで一人あたり10時間超の時間が変わった企業があります。基本的なことで、やっていて当たり前ではないかと感じられることほど、意外とやっていなかったりします。アナログでできていないことはデジタルでも大抵できていませんので、運行指示の際には注意するようにしてください。

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次回は3月10日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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