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第62回 運送業の給与DX(4) 給与ポイント管理アプリ
前回のコラムでは、「運送業の給与DX」を確実に進めていくために、デジタコなどの記録機器を使って、ドライバーがしっかりと入力できる体制を作ろうというお話をしました。さて、今回はスマートフォンのアプリを使って出来高系のデータを入力し、給与計算につなげている企業の事例紹介です。
運送業の給与DX(4) 給与ポイント管理アプリ
前回のコラムでは、「運送業の給与DX」を確実に進めていくために、デジタコなどの記録機器を使っていこう、そのツールにドライバーがしっかりと入力できる体制を作ろうというお話をしました。
デジタコや運行管理アプリにしっかりと入力ができている→集計が高速化する、効率化する→月次の収支も早く集計できるというDX化の流れができあがります。手書きの日報を基に事務所の方がExcelなどにデータ化するところから始めるのであれば、全体の作業工数が増えてしまいますから、デジタル化の恩恵を受けているという実感が湧きません。
やはり既にデジタルツールをお使いなのであれば、まずはそのツールに入力がしっかりとできるようになることが重要です。0からデータを起こすより、元データを修正する方がより効率的かと思いますし、ドライバーに指導をしてしっかりと入力ができるようになる方がお互いの将来は明るくなりそうです。
さて、今回は実際にスマートフォンのアプリを使って出来高系のデータを入力し、給与計算につなげている企業の事例紹介です。
退勤時に自動集計された出来高データが表示される
アプリ操作画面(運行時使用画面)
まず、ドライバーは運行管理アプリを使用して出勤→出庫をします。デジタコ機器の操作のように作業場所へ到着し、作業を開始する時に「荷卸」「積込」などのボタンを押下します。
この企業の場合は、納品1件ごとにいくら、バラ積みバラ卸があった場合は1件ごとにいくらという出来高系のルールと、どの車格の車両に乗務した際はいくらというように決めています。そのルールに従って、
- 出庫時に選択した車番から、車格を自動計算し基本ポイントを算出
- アプリが自動計算した走行距離
- 配送件数は「納品」ボタンを押した回数(積み込みも同様)
- バラ作業などは手入力
作業報告画面(ドライバーが退勤ボタン押下時に表示。ドライバーが編集することも可)
毎日のことですので、一度理解できると業務の一部として1日の流れに浸透していきます。また、この例には運賃に対する歩合データは掲載していませんが、配車データを取り込んでいる場合は、社内ルールで決められている歩合率などから計算し、運賃からの歩合高を計算することもできます。
ドライバーも内容を確認したうえで退勤、毎日集計ができる
本例ですが、ドライバーからの毎日報告、毎日集計がされるのがポイントです。ドライバーが集計されたものを自分自身で確認し、確定した後、事務所に自動で報告が行われるため、お互いが結果を認識したうえで給与計算に進むことができます。
管理画面
一番はじめの報告内容がデジタル化されていればDXは実現する
なんといっても、入力時点からデジタル化されていれば、ルール設定と運用指導には苦労することはありますがDXはうまくいきそうです。前回のコラムでまずは「休憩」ボタンを確実に押せるようにする、というお話をしたのもこのためです。最前線で動いている人からデジタル化できれば無敵ですからね。
次回は2月2日(金)更新予定です。