第63回 運送業の給与DX(5) ハイブリッド給与体系の検討

前回のコラムでは、「給与ポイント管理アプリ」のお話をしました。運送業経営者が考える給与・手当の設定方法は、会社としての考え方の根幹のようですね。さて今回のコラムはハイブリッド給与体系の検討について考察していきたいと思います。

運送業の給与DX(5) ハイブリッド給与体系の検討

前回のコラムでは、「給与ポイント管理アプリ」のお話をしました。多くのご質問をいただきました。運送業経営者が考える給与・手当の設定方法は、会社としての考え方の根幹のようですね。

このアプリのポイントは、給与のベースとなる数値をドライバーからリアルタイムで吸い上げ、効率的に集計を行えること、そしてドライバー自身が1日の自分の稼ぎを確認したうえで納得して1日を終えられることです。ただ、給与に直結するさまざまな数値を扱いますから、内容に誤解がないようにしなければいけませんし、不正を防止する仕組みも必要です。うまく定着させるためには、組織としての成熟度が高い必要がありますので、かなりの慎重さが必要です。

さて今回のコラムはハイブリッド給与体系の検討について考察していきたいと思います。

ハイブリッド給与体系とは時間給と歩合給との組み合わせ

ハイブリッド給与体系とは、時間給と歩合給との組み合わせによって月間の給与を決める体系です。当たり前といえば当たり前なのですが、運送業界では、時間給、つまり残業手当・割増賃金を支給せず、手当は残業代を含むという名目での歩合給で全て支払っている会社が相当数あります。
もしくは、賃金総額を歩合で決定し、割増賃金を別に支払わず、形式上だけ基本給と割増賃金に割り振りしている場合もあります。これはかなり危険なのはご理解いただけると思います。

まず前提条件として、2024年4月1日以降は時間給で残業手当を支払わなければいけません(今までもそうなのですが、切りの良いタイミングと捉えていただくため、このように表現させていただきました)。まず業務への拘束時間があり、そこから休憩時間を引いた労働時間に対して残業時間を算出します。それに対して残業手当(割増賃金)を支払います。その後、出来高給などの歩合や手当を付与するという流れが正解です。これを運送業のハイブリッド給与手当と呼びたいと思います。

ハイブリッド給与体系に必要なもの

残業時間を算出するためには「出勤時間」と「退勤時間」とが必要です。出庫時間と帰庫時間は、乗車と下車のタイミングですので不十分です。そのため、タイムカードシステムのような出勤・退勤を記録するシステムを活用するか、もしくはどの時間を出勤時間と退勤時間とするか、という社内規定が必要です。例えば、出庫前のアルコールチェックのタイミングを出勤時間とするなどです。厳密にいうとそのタイミングでは運行前点検などが終了しているのか? などの疑念が残るため、やはり出勤時間と退勤時間を記録するものが必要です。

歩合給の設定については、残業手当をしっかりと支給するタイミングで項目・手当額を見直す方がよいでしょう。できればDX化できるようにするため、測れる(デジタル化できる)項目が良いですね。うまくできれば前回のコラムのようにアプリ上でポイント計算ができ、給与計算につなげることができます。

これは実態を直接反映するものでなければならず、さらにドライバーのモチベーションアップの観点、収支の観点、法律の観点から項目を設定する必要があります。なにはともあれ、給与体系の見直しは運送業にとって、最も緊急性の高い内容のようです。

次回は3月8日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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