ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第70回 運送業は何をデータ共有しておくべきか(2) 納品先情報
前回のコラムでは、運送業がデジタル化、DXを進めていくうえで、社内で何をデータ共有しておくべきかの第一弾として、配車業務のデータ共有についてお伝えしました。ITの力を借りれば新しい情報を共有できます。今回は納品先情報についてお話をしたいと思います。
運送業は何をデータ共有しておくべきか(2) 納品先情報
前回のコラムでは、運送業がデジタル化、DXを進めていくうえで、社内で何をデータ共有しておくべきかの第一弾として、配車業務のデータ共有についてお伝えしました。
共有しておくと良い項目は、「拠点が所有しているトラックの車格と装備」「荷主と荷種」「空車情報」「依頼している協力会社」を推奨しています。つまり配車表の内容そのものということですね。これは他の拠点や配車担当者がどのような動きをしているのかを把握することができるため、非常に合理的です。かつITの力を借りることで絶えず新しい情報を共有することができます。そういった観点で今回は納品先情報についてお話をしたいと思います。
納品先情報をまとめることの重要性
本コラムでも納品先情報のデジタル化について、複数回お話ししています。私はこの納品先情報を運送業にとって、とても重要なものと位置付けており、情報として残しておくものの1番にあげています。その理由について整理します。
まず、
- 納品先情報がまとまっていて、内容をドライバーへ指導することで安定的な輸送品質が担保できるようになる
- 納品実態を明確に荷主に伝えられるようになる
- 納品先情報のほとんどは実際に納品しているドライバーしか分からない一次情報である
ということから、(1)品質、(2)コスト、(3)他社に対するアドバンテージと捉えることができます。これが重要なことは運送業各社でも認識しておられるようで、紙ベースで納品先情報をまとめられているのをよく拝見します。これはとても良いことです。どのような手法でも前述の(1)~(3)のメリットは享受できます。1点だけ難点をあげるとすれば、紙ベースの情報だと更新、伝達が遅くなってしまう点でしょうか。これがデジタルで情報共有できる仕組みが出来上がると、ドライバーが更新し、関係者全員にすぐに伝達され、スマートフォンなどで確認ができるということになります。
納品先情報は運送業にとってのノウハウそのもの
納品先情報は、おおまかに下記の項目でまとめると良いと考えています。
- 納品先名
- 住所(広域地図・狭域地図)
- 周辺情報
- 納品指定時間
- 入門不可の車格
- 写真(外観・入り口・駐車場所・受付場所・納品場所など)
- 動画(納品の様子・端末操作の仕方など)
- 納品ルール・注意事項
- 事故・クレーム履歴
- その他共有事項
これがまとまっていると良い情報になりそうです。これがまとめられていることをノウハウという、と定義するととてもしっくりきます。前項で説明した「納品先情報のほとんどは実際に納品しているドライバーしか分からない一次情報である」ということから、自社ではない、他社の車両では到達できない情報がまとめられていることになります。これが全社員に共有できる仕組みがある、これはすごい強みになるのではないでしょうか。
次回は6月28日(金)更新予定です。