第72回 運送業は何をデータ共有しておくべきか(4) 拘束時間・残業時間

前回のコラムでは、データ共有シリーズ第三弾として車両情報のデータ共有についてお伝えしました。今回のコラムは、データ共有シリーズ第四弾として、拘束時間・残業時間のデータ共有についてお話をしたいと思います。

運送業は何をデータ共有しておくべきか(4) 拘束時間・残業時間

前回のコラムでは、データ共有シリーズ第三弾として車両情報のデータ共有についてお伝えしました。運送会社の商売道具であるトラックについて、個別の情報を共有できるようにしておくととても便利だというお話でした。

トラックは車種・車格からはじまり、保険・修理・点検・売却に関連する情報など、多くの情報を持っています。その中でもそのトラックはどんな仕事ができるのか、を判断することができる「車両装備情報」は共有しておくことがおすすめです。あらためてお伝えしておきますね。

今回のコラムは、データ共有シリーズ第四弾として、拘束時間・残業時間のデータ共有についてお話をしたいと思います。

2024年問題に対応していくためには、配車担当だけでは対応できない

運送会社視点で、2024年問題で具体的に行わなければいけないことを一言で表すと、「ドライバー1人当たりの年間残業時間を960時間以内に抑える」ということになります。
これを実現していくためには、配車担当が業務を割り振るところから始まり、運転日報を確認する運行管理者、そして給与や労務に関連することを確認する担当者など、さまざまな業務を担当する人たちが、ドライバー一人一人の残業時間を把握しておく必要があります。

中小運送業の場合は1人の配車担当者が、配車・運行管理・有休取得・運賃計算・請求書発行・ドライバー採用の全てに関連している場合も多く、業務がパンクしがちです。「人が足りないのは分かっているけど、採用にまで手が回らないため一人一人が長時間労働になる」「出発時間はドライバー任せになる」「有給休暇管理どころか取得も進められない」といったことになりがちです。

しっかりとした時間管理を進めていくためには、配車担当者に偏重した業務体制を変えていかなければいけません。

  • 配車を行う人 → 効率的に配車する
  • 採用をする人 → 足りなければ募集する、協力会社を見つける
  • 有給休暇管理をする人 → 取れていない人、取れている人を管理する
  • 運行の結果を判断する人 → 指示どおり運行できているか、指示できているか、法的に適応した運行ができているかを管理する
  • ドライバーに運行に関する法律を説明する人 → 改善基準など、ドライバーが理解できるように教えてあげる人

が今の運送業には必要だと考えられます。

これを時間をベースにドライバーに伝えなければいけません。全ては時間で動いています。
まず現時点で、

  • 誰がどれだけ、累積残業時間が発生しているのか
  • このままいくと月末時点では残業時間は何時間になるのか

この情報は必ず共有しておかなければいけません。スプレッドシートなどで下記の表のような内容を共有しておくと、上記の各担当はいろいろなことが判断できるでしょう。

例えば、運行確認をした時に「出勤時間はしっかりと指定できているのか」「ドライバー任せになっていないか」「長時間になるコースが慢性的に同じドライバーにあたっていないか」「ドライバーが休息に入るタイミングを理解できているか」「または管理者は指示できているか」などです。時間がかかっていると理解できていれば、それは発見できます。

運送業の経営キーワードは時間です。

次回は7月26日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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