第73回 運送業は何をデータ共有しておくべきか(5) 運行指示書

前回のコラムでは、データ共有シリーズ第四弾として拘束時間・残業時間のデータ共有についてお伝えしました。今回のコラムでは、データ共有シリーズ第五弾として、運行指示書のデータ共有について考えてみたいと思います。

運送業は何をデータ共有しておくべきか(5) 運行指示書

前回のコラムでは、データ共有シリーズ第四弾として拘束時間・残業時間のデータ共有についてお伝えしました。2024年問題への対応として、ドライバー個々人の残業時間を把握することが重要です。この残業時間には法的な制限があり、順守が求められています。そのため、配車担当者だけでなく、実際のデータを関係者と共有し、全社で順守する体制を整えることが必要です。

今回のコラムでは、データ共有シリーズ第五弾として、運行指示書のデータ共有について考えてみたいと思います。

しっかりと計画された「運行指示書」に基づいて運行することの重要性

運行指示書は、2泊3日以上の長距離運行において運行管理者が運転者に与える書類です。この書類には出発時間、経由地、休憩地と時間、到着予定地と時間、有料道路の使用など、運行計画に関する詳細が記載されています。これらは貨物自動車運送事業安全規則で定められており、具体的には以下のような項目が含まれます。

  • 運行の開始と終了地点および日時
  • 乗務員の氏名
  • 運行経路と主な経由地における出発と到着の日時
  • 注意が必要な箇所の位置
  • 運行中の休憩場所と休憩時間
  • 運転または業務の交代地点
  • 運行安全のためのその他必要な事項

要するに、長距離運行において出発時刻、経路、休憩場所、荷卸し場所、宵積み場所などを正確に指示するためのものです。よく「出発時刻や休憩タイミングはドライバーに任せている」という話がありますが、これは運行管理者が指示すべきことです。

特に定期的な納品の場合は、再現性の高い運行指示書を作成し、配車指示に活用することが理想です。帰りの荷物が未定の場合でも、運行指示書を用意しておくことが良いでしょう。変更があればドライバーに直接連絡する必要がありますが、これは配車業務と同様です。

拘束時間や残業時間を規定内に抑えるためには、正確な指示が欠かせません。そのために運行指示書の活用が重要であることが分かります。

運行指示書に分かりやすい名称をつける

各事業所で作成される運行指示書は、運送業のノウハウそのものです。これを共有することは非常に有益です。多くの人がアクセスしやすく、活用できるように、PDFファイルで保存し、分かりやすい名前を付けて共有ドライブに保管することが重要です。

例えば、「荷主名_納品先名_日付」のような命名方法を採用すると、検索しやすくなります。ここでも各社のノウハウが生かされるでしょう。

次回は8月9日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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