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第20回 運送業の改善基準告示対応~(9)運送業の勤怠管理表~
前回は、運送業の働き方改革・2024年問題について解説しました。今回から、デジタル化によって改善基準告示などに対応する方法についてを数回にわたってお話ししていきたいと思います。まず、運送業の勤怠管理表について触れていきます。
運送業の改善基準告示対応~(9)運送業の勤怠管理表~
前回のコラムでは、改めて運送業の働き方改革・2024年問題についてお話ししました。要はちゃんと毎日の拘束時間・労働時間・残業時間を管理して、しっかりと休息期間を確保できるように、そして長時間労働にならないようにしましょうということが運送業の働き方改革の方針です。そして、2024年問題とは年間の残業時間が960時間までに規制されるため、運行できなくなるドライバー、車両がでてくるのではないかというリスクが発生することを指します。
なにはともあれ、問題のキーは「時間」です。「毎日の時間管理」「分単位の時間管理」「業務別の時間管理」ができていないと、「ちゃんとやっている」とは言えなくなりそうです。ハイレベルですね。
今回から数回にわたって、デジタル化によって改善基準告示などに対応する方法についてお話ししていきたいと思います。
ドライバー別の月間勤怠管理表を作る
市販されているシステム、またはMicrosoft Excel(エクセル)、なんでも結構です。まずは、月ごと・ドライバー別・日別に毎日入力できるファイルを作りましょう。
まずは担当者を決め、ここに毎日入力していくことが重要です(効率的にどう入力していくかについては、また後ほどご説明します。今はやらなければいけないことからお話しします)。
ここでは、
- 出勤時間(出庫時間ではありません)
- 退勤時間(帰庫時間ではありません)
- (重複時間)
- 休憩時間
- 拘束時間(出勤から退勤までの時間)
- 労働時間(拘束時間から休憩時間を引いた時間)
- 残業時間
を毎日つけていきましょう。月末に一度にまとめて入力するような管理をしていると、途中で配車を変える、ドライバーに注意を促すなど、対処をすることができません。人手がかかっても、これはやらなければならない業務の一つになります。
ここまでは運送業以外の一般の企業と同じ勤怠管理の方法ですが、運送業の場合はそれに加えて改善基準告示の内容も日別で管理する必要があります。まずはデジタコなどがない場合でもアナログで管理できる項目だけを記載しておきます。
- 運転時間
- 重複時間を含めた拘束時間(前日の出勤時間より早く出勤した場合は、その差の時間を拘束時間に足さないといけません)
- 休息期間(当日の退勤時間から、翌日の出勤時間までの時間)
- 前日との運転時間の平均
これを一枚の表にするとこのような形になります。
まずはこの形を目指して、社内でつくりこんでみましょう。
運送業の勤怠管理表はこのような形になっていないと、毎日のドライバーの管理ができないのです。
次回はこれをデジタルの力を借りてどのように効率的に(早く正確に)行っていくのかについてお話ししたいと思います。
次回は5月6日(金)更新予定です。