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第167回 価値で勝つ戦略
同じ時間に同じ道を走行していても周囲の状況は刻一刻と変わることと同じく、同じ仕事を提供していても周囲の状況が変われば周囲からの評価も変わります。「新たな発想・挑戦なくして仕事の継続・発展なし」と考えましょう。
価値で勝つ戦略
困難なことや面倒なことを請け負うことは喜ばれる仕事であり、社内外を問わず、誰かに喜ばれる仕事とは価値がある仕事です。
さらに「誰かの代わりに仕事をする」以上の「誰にも真似ができない仕事の提供」により、「価値=存在」が認められます。
社外向けには誰にでもできる仕事には価値は見いだされにくく、「価値=単価」を下げることでしか価値を高める方法が見当たりません。
これには薄利多売の戦略が必要ですが、労働集約型産業である運送業でも時短化が進む昨今では、その戦略を選択すべきではないことは容易に判断できます。
かといって、見合わないような高い運賃を提示しては、仕事が来ずに売上が上がりません。
「そうであれば」と他社よりも安い運賃を提示すると、いくら頑張っても利益が残りません。
利益が残る金額を設定して、その金額に見合うサービスを提供すること。
そのサービスを提供するために「お金をかけて設備への投資」もしくは「時間をかけて社員への教育」をすること。
提供する運送サービスへの対価は、運送会社の価値として価格に反映されます。
価格とは価値に対する対価であり、価格を上げるためには価値を上げること。
お金をかけて投資をすれば、売り上げが上がります。
時間をかけて教育をすれば、利益が上がります。
他社では手に負えないような困難な案件が舞い込んだときは、お客様からの期待と捉えましょう。
物流の「困難な課題」への対応が運送会社の新たな事業領域であり、その機運は高まりつつ、その結果により他社との差別化にも通じます。
商談とはお客様からの期待により成立します。
仕事とはお客様からの評価により継続します。
物流案件に対して、運送会社が「それは無理です」と諦めると、そのお客様は途方に暮れてしまうかもしれません。
また運送会社が同じことばかりを提供していると、今のお客様に飽きられるかもしれません。
同じ時間に同じ道を走行していても周囲の状況は刻一刻と変わることと同じく、同じ仕事を提供していても周囲の状況が変われば周囲からの評価も変わります。
「新たな発想・挑戦なくして仕事の継続・発展なし」と考えましょう。
例えばドライバーの運行時間短縮への挑戦は、労働環境の良化だけでなく地球環境の負荷低減にも貢献できます。
運転をしなければ事故が発生しないことと同じく、仕事をしなければ仕事の失敗は発生しません。
失敗とは仕事をした証しであり、その失敗を「反省と改善」をすることで、成功に近付けるのが仕事です。
動かずに失敗をしないのなら、仕事の領域を増やすことに挑戦して失敗する方がいい。
何も変えずに失敗することよりも、何かを変えることに挑戦して失敗する方がいい。
仕事において失敗は付き物です。
だから複数の失敗や重責を抱えながら、投げ出さずに仕事を前に進める姿勢が求められます。
特に営業活動では挑戦することで失敗の経験を積み、その失敗が次の成約につながる成功への道です。
例えば新規案件に対して「やったことがないからできません」と答えることは、自社や自身の成長の権利をみすみす他社に譲渡するようなもの。
自ら新規案件に挑戦すると、できるようになったことやこれからやるべきことも明確になります。
このような新しい仕事への挑戦には、人と会う時間や考え抜く時間など、売上がない時間を浪費します。
その時間に対する売上や給料は、現在お取引をしているほかのお客様から得ているということ。
お客様から頂いた売上とは「お金を預かっている」と考えて、お客様に新たなサービスを提供することで、お客様の事業に貢献して「売上か利益」でお金をお返ししましょう。
自社を選んでいただいたお客様の価値を高めることが、これからの運送会社の「価値」であり、他社との差別化で「勝ち」にいく戦略です。
ありがとうございました。
次回は2月28日(金)更新予定です。
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