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第166回 ヒヤリハットなドライバー
ヒヤリハットな運転行動とは、運転マナーの悪い運転に該当することが多く、交通違反の前兆でもあり、交通違反は交通事故につながりやすい傾向にあります。添乗指導での早期発見と早期改善が必要です。
ヒヤリハットなドライバー
ドライバーが帰社後に行うヒヤリハットの報告場面において、些細な状況から話を広げたり、多くの情報を短く要約したりすることは、報告を受ける側である管理者の役割とする方が理想的です。
その理由は、管理者がドライバーとの会話を通じて意思疎通を図りながら共同で作成すれば、ヒヤリハットの報告業務も「相互成長と信頼構築」ができる機会にもなるからです。
会話では、運行中に「危険そうな運転者と遭遇した経験は?」とドライバーに質問すると、ヒヤリハット体験の記憶がよみがえりやすくなります。
その回答の中で「厳罰化されてもスマホを操作しながら運転をしている人がいた」がいまだに絶たないのは残念なことです。
さらには、「ご自身は周囲を走行する運転者から危険なドライバーだと思われていませんか?」と尋ねてみるのもよいでしょう。
同じ運送会社のトラックで撮影されたドライブレコーダーの映像は、社内の誰もが日常で目にしている風景だからこそ、身近な危険と感じて他人事ではなく自分事と捉えることができます。
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その理由と同じく、ドライバーが作業中に手を止めて撮影した写真は、作業中のヒヤリハットとして社内で活用できます。
撮影には改善活動の一環として顧客から許可を得ることも条件ですが、改善の視点をドライバーが発揮すれば、「ドライバーならではのヒヤリハット素材写真」が収集できます。
収集した写真を掲示して「ヒヤリハット写真コンテスト」を開催して、投票により受賞作品を決定すれば、社内で盛り上がる社員表彰と安全教育の機会になるでしょう。
また、添乗指導では周囲の状況でヒヤリハットを発見したり、運転行動のヒヤリハットを改善したりすることができます。
ヒヤリハットな運転行動とは、運転マナーが悪い運転に該当することが多く、また交通違反の前兆でもあり、交通違反は交通事故につながりやすい傾向なので、添乗指導での早期発見と早期改善が必要です。
道路上でのヒヤリハットポイントを社内で共有しつつ、「あの道は通行しない(○○○をしない)」以上の「この道を通行する(○○○をしよう)」に置き換えると、経路選択の情報に乏しい新入社員ドライバーの交通事故削減にも効果が見込めます。
場所別には、子どもを交通事故から守るために公園や学校付近がヒヤリハットポイントとして挙げられていましたが、高齢者を多く見かける場所や施設付近も共有しましょう。
また高齢者を交通事故から守るためにも、子どもの夏休みなどの時期や休校の曜日だけではなく、日々の時間帯で高齢者の行動を読むことも良いでしょう。
このような道の上のヒヤリハットに気付ける人は「危ない目に遭っている人=危険な人」ではなく、「危ないものをいち早く多く発見できている人」や「危険を認知しながら対処できている人」であり、安全な人です。
例えば自転車運転者が異常に接近している危険な状況でも、ドライバーが接近している自転車に一度も気付かなければ、ヒヤリハットには感じず報告には至りません。
事故発生後の減点評価と事故事例による「事故待ち指導」ではなく、ヒヤリハット報告による加点評価とヒヤリハット事例による「事故防止教育」を社内で展開しましょう。
「マチガイ」探しゲームと同じく、「アブナイ」探しゲームのように。
ヒヤリハット体験をたくさん発表して、その量と質を競うドライバー同士の「自慢大会」になれば、安全の会話の量と質もさらに高まると思います。
ありがとうございました。
次回は2月14日(金)更新予定です。
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