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第165回 会社が行事をやめない理由
会社は社員の成長に社運を賭けるべく、社内で時間をかける会議だけでなく、社外で経費をかける懇親の機会も設定されていると思います。上司や仲間と会社以外の場所で過ごす時間での対話により、仕事への熱意を思い出し、決意にも余熱が残りやすくなるのでしょう。
会社が行事をやめない理由
仕事とは「やりたくないこともやらなければならない時間」であり、会社とは「自分とは違う性格の人とも過ごす場所」ともいえます。
仕事はうまくいかないことも多く、会社では面白くないこともあるでしょう。
できないことに挑戦するのが仕事の醍醐味(だいごみ)であり、できることを繰り返すのは作業の域です。
下や後ろばかりを見るのではなく、上や前を向いて目標を達成しようとすることが、自身の成長であり会社からの評価の対象です。
自分と趣味が似ている人が集まるのが友達で、性格が違う人が集まっているのが組織です。
だから会社には働く人同士の意思疎通の機会として執り行われる行事が多いのです。
その行事への参加人数が大人数になればなるほど、「自分はいなくてもいいのでは」という心理から参加が面倒に感じるものです。
また少人数の行事でも、自身に圧し掛かる重責が想定されると「早く過ぎてほしい時間」と感じるものです。
幸せになりたいと思い、給料は上げてほしいが仕事はしたくない。
早く帰宅したいと思い、残業はしたくないが工夫や改善はしない。
安全でありたいと思い、事故はしたくないが研修は受けたくない。
健康でありたいと思い、肥満になりたくないが運動はしたくない。
「好きなこと」だけで仕事は成り立たず、「楽なこと」だけでは会社も維持できません。
実際に「やりたいこと」だけで、人が羨むほどメシが食えている人は少ないはずです。
「やりたいこと」をやり続けるために、人目に触れず流している努力の汗や苦労の涙があるものです。
「面倒なこと」を習慣にして「面白くないこと」を乗り越えることで自身の実力になるのは、スポーツの世界でも勉学の時代でも同じこと。
自主的に、主体的に、積極的に「できる作業よりできない仕事」を経験しようとすることで、自身の成長が早まります。
その経験値から裏付けされる正しい判断や行動を評価されることで、自信が高まります。
さらには日を増すごとにほかの人との差を広げることもでき、振り返れば「苦労もしたけど成長できた」と思える日がきっと来るはずです。
社内では正しい方向を示す道しるべが会議であり、その方法を知るためのものが研修を含む教育の機能です。
会議で固めた方針を達成しようとする熱意は、放熱はしていても蓄熱はしにくいものです。
方針を放置するような時間が長くなれば、熱意は倍以上の早さで冷めてしまうものです。
だからこそ、会社は社員の成長に社運を賭けるべく、社内で時間をかける会議だけでなく、社外で経費をかける懇親の機会も設定されていると思います。
上司や仲間と会社以外の場所で過ごす時間での対話により、仕事への熱意を思い出し、決意にも余熱が残りやすくなるのでしょう。
「今からこの会社に入社するとしたら、どんな社員になりたいか」を語り合うと、入社後の自身の考え方の変化や働き方の進化を振り返りやすくなります。
「今から10年後の夢」を言葉で出すことで、夢以上に具体的な目標を明確にすることができます。
夢に数字を入れると目標になり、目標に数字を入れると計画になります。
ありがとうございました。
次回は1月31日(金)更新予定です。
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